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クリスタル・ウェポンズ~心臓が結晶化した私は助かるために現代ダンジョンに潜る~  作者: 彩名氏シエル
第1章 『水晶製魔機構の心臓』編

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エピローグ 上:Welcome to the next stage

本日は2話投稿です。これは2話目なのでお気をつけください。

あと、すみません。1話で終わらせられなかったので上下で分けました。明日の12時、投稿予定です。

スタンピードの戦闘がおおむね終わった頃、とある大通りから一本離れた路地裏で、少年がフラフラと歩いていた。

「くそ……くそが……。どいつもこいつも使えねぇ……。くそ、くそが。あいつら、騙しやがって。」

それは吹き飛ばされた富田だった。顔面は陥没し、歯は欠けたり折れたりしていて、全身もボロボロで、すぐにでも病院に向かわなければ危ないだろう。

しかし、彼にはそれができない理由があった。

遠くからパトカーのサイレンが聞こえ、富田は怯えたように資材の隅に隠れる。

「くそ、何なんだよ。俺は悪くねえ。何がダンジョン法違反だ。何もやっちゃいないだろうが。」

そう、彼は警察に追われているのである。罪状は……まあ本来の名称は長いので略称でいうと、ダンジョン法違反。ダンジョンのみならず、魔法に関する取り扱いまで含めて、緊急制定された法律である。

それには無許可でダンジョンに入ってはいけない、ユーンで実験をしてはいけない、スタンピードを誘発するであろう行動を取ってはいけないなど、彼を任意同行させるには十分な内容が記述されている。

しかも悪いことに、これらの罪はことごとく重罪であり、死刑になるハードルがとても低いことで有名である。なんと、この法律が試行されて2年。実刑判決をくらった人は3桁を超え、死刑になった人数は公式発表で20人を超えた。

それを知っていたから、富田は任意同行を求められたときに全力で抵抗し、そのスペックをいかんなく発揮して警官を吹き飛ばし、全力で逃亡したのである。

しかし、そろそろ逃げるのも限界だ。体力は限界を迎え、意識ももうろうとしてきた。

隠れた資材の影でうずくまったまま動くことができずに、富田の命運は尽きるかに思われた。

その時である。

「やれやれ、愚か、愚かとは思っていましたが、ここまでだとは私も思いませんでしたよ。何故一人で倒せもしないCランクダンジョンのボスを強化したのか。しかもあれはE、高くても、Dランクのボスを上限に設定していて、Cランクだと大した倍率の強化にならないというのに。しかもそれにあっさり倒されてスタンピードを誘発するなんて。どうしようもないですね、ほんとに。」

そうぼやきながら出てきたのは『超越者の集い』取締役である桐谷の姿だった。

富田がぼんやりした表情のまま見上げれば、彼は見下したような、哀れなものを見る目を向けていた。

「お、まえ……。なんで……。」

「はて?要領を得ませんね。しかし、ここであなたが捕まってしまうと色々と面倒でして。こんな不良品でも使い道はいくらでもありますから、こちらで回収させていただきますね。」

そういって、桐谷は富田を物のように担ぐと、ビルとビルの隙間、どことも知れない影へと消えていった。

ーーーーーーーーー

数日後の深夜。クラン シーリー・コート(夜の妖精)本部ビル最上階。

一面が窓張りの社長室のような部屋で、一人の青年が、パソコンを前に座っていた。

「フムフム。まぁ被害は最低限で復帰できないほどのけが人もなしっと。唐突なスタンピードとしては十分な成果と言えますかね。」

そう言いながらどんどんと報告書を開いては閉じていく。そして、一つの写真入りテキストファイルで動きが止まった。

「へー、第3部隊の本田さんの推薦ですか。」

その資料をじっくりと読み込む男性。その時、机の正面奥にある扉が開いて、別の人物が入ってきた。

「あら、こんな夜遅くまで仕事なんて。明日も早いんですからそろそろ終わりませんか?」

そう言って入ってきたのは、黒いワンピースを着込んだ美女だった。絹のようなきれいで長い髪。整った容姿にメリハリのあるプロポーション。夜会でドレスを着て笑っているのが似合いそうな、華のある女性だった。

そんな女性が微笑みながら男性の肩に手を置く。

その人の顔を見て、男性も微笑んで体を起こした。

「おや、もうそんな時間でしたか。そうですね。そろそろ夕食にしましょうか。」

そして、パソコンを落とそうとして、女性がその画面をのぞき込んで声をあげた。

「あら、珍しい。あの人が推薦状書くなんて。」

女性の豊満な胸が腕に押し付けられて、若干顔を緩めながら男性も機嫌よさそうに答える。

「でしょう?だから、今度声をかけようかと思いまして。」

「それはいいわね。それに、この子、私と同じ『ダブルカラー』、しかも光と闇なんて。鍛えがいがありそうで楽しみだわ。」

「僕はこの剣士が気になりますかね。ポテンシャルありそうです。」

二人は微笑みあって立ち上がる。

男性……シーリー・コート、クランマスター兼株式会社シーリーコート代表取締役綾小路隼人は、クランのエース・綾小路彩芽の手を取って、部屋を出ていった。

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