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クリスタル・ウェポンズ~心臓が結晶化した私は助かるために現代ダンジョンに潜る~  作者: 彩名氏シエル
第1章 『水晶製魔機構の心臓』編

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第16話:魔法講習初級編 ー 後編 ー

本日、総合PVが1000に到達しました。

読んでくださってありがとうございます。

本日は2話連続投稿となります。こちらは1話目になります。


「さて、重たい話はここまでにして、さっそく実践に移りましょう。」

白井さんがそう言って移動を進めてくる。生徒たちはどこか困惑したような、怯えたような表情だったが、指示に従い移動を始めた。

もちろん私たちも移動を始める。そしてたどり着いたのは約1か月前にも来た地下訓練場だった。

「では、各種事項を書いたパンフレットを渡しますので、それに従って訓練に入ってください。

もし、パンフレットで分からない点があれば近くのスタッフにお声がけください。」

そこには白井さん以外にも何人かのスタッフがいた。そして各々がパンフレットを受講者に配っている。

私たちもそれを受け取ると、その場で正座や胡坐を組んで座った。

訓練の手順としてはシンプルだった。

まず座って意識を集中させ、魔力を操作して体外に出し、それを固定する。

ここまでが第1段階。そして、その状態で魔力を安定させるのが第2段階。

そして、もっとも難しく、多くの冒険者をはじき返してきた魔力を現象に変換させる第3段階。

魔法は基本これらのステップで組み上がるそうだ。戦闘だとここに形成・射出という2段階も含まれるらしいが、

初級編ではそこまではやらないらしい。というか自然とできるようになっていくそうだ。

で、第3段階でかかわってくるのが1年前に行った属性検査らしかった。

まあ父親のような無属性はどれにでもある程度の適性があり、偏りはないそうなのだが、逆に現象への変換が苦手らしい。

逆に属性があった方がその属性への変換は比較的習得しやすいそうだ。

ここで思い出してほしい。私は光と闇に高い適性を示していた。

だから、

「できた……。」

私は手の平の上に浮かぶ光の球を見つめながら呆然とつぶやいた。

練習を始めてから1時間ほどたっていた。

本当に言われた通りにしていたら出来てしまった。

まず、体内の魔力を意識してそれらを体内で練り上げるイメージを固めていった。こう水にパン生地を練りこんで圧力を加えるような感じで、心臓に負荷がかからないようにだけは意識して固めていく。

そして、それをゆっくりゆっくり動かして行って、手のひらにまで持っていく。こう、体内で流れる魔力に削られながら動かしたから何度か失敗した。

そうしたら、最後に球体状に魔力を再度圧縮して外に出す。いやこれが一番難しかった。圧力が足りないと霧散し、偏りが出てもやはり霧散する。最後には両手の平を重ねて、その真ん中にビー玉を挟み込むイメージで安定させることができた。

そして、最後にその球体を変換する工程だ。何がいいか考えた結果、豆電球にした。

小学校の理科で懐中電灯を造ったのを思い出しながら光に変化しろと念じたら簡単に出来てしまったのである。

しばし呆然とする。隣りでは白雪さんが額から汗を流しながら目を瞑って意識を集中させていた。その奥では偶然一緒になった女性が疲れ切った表情で水を飲んでいたのだが、私の手の平の上の光球を見てその水を噴出していた。

ふと、私は周囲を見回す。あちらこちらから小さなうなり声や「火よ……」とか「風よ出てこい……」とか「ia!ia!」とか聞こえてくる。

いや、ひとつなんかおかしいのがあったが気にしないことにしよう。背筋に悪寒が走った気がしたが気のせいだ。

で、私が確認したかったのは、他に魔法の発動に成功した人がいるかどうかだった。

しかし、見当たらない。手を掲げたり、疲労困憊で倒れこんだりしている人はいても、火や水や光を出せている人は見当たらなかった。

「あのー、すみません。」

ちょうど近くを白井さんが通りかかったので声をかける。

「どうされましたか?」

「出来ました。」

私がそう言って光球を見せると、白井さんはしばし呆然としてから「おめでとうございます。」とかなり驚いた表情で祝福してくれた。

そして、耳元に口をよせると、小声で確認してくる。

「どこかで魔法について学んだことはありますか?」

「いいえ。」

「では、属性検査でどのような結果が出ましたか?」

そう立て続けに聞かれたので、当時の話をする。中国の太極図のような、光と闇が食いあうような状態だったと。

「プライマリーカラー……しかもダブルですか。それに加えて光と闇ですか……」

「プライマリーカラー?ダブル?」

私が首をかしげると、白井さんはあわてて首を横に振る。

「いえ、何か問題があるとかそう言うのではないです。ただ、あなたみたいにほぼ単一職の人は高い属性への適性を持っていて、それを属性検査用の水晶が原色に光ることからプライマリーカラーって呼ぶんです。まぁ、非公式ですが。」

「それに加えて、その色が複数あるとダブルとかトリプルって色の数に応じて言われるんです。」

さらに詳しく聞けば、普通は虹色……つまりは全ての属性をほぼ同量持っているのが普通でそれに若干偏りがあるのが普通らしい。

私みたいに単色……それに複数持っているのは相当珍しいらしかった。

「そう言えば……私が検査受けた時に三色出たって話があったんですけど……やっぱり珍しいんですかね?」

そう聞いてみたが「あぁ、彼ですか……」と微妙な反応をされて、詳しいことは聞けなかった。

それはともかく、その後に驚くような話を聞いた。

「本来、あと30分ほどで補助具を渡す予定だったんです。」

「補助具?そんなのがあるんですか?」

「はい。属性への変換はかなり難しいんですが、それは自分の手のひらから出るというイメージが持ちにくいというのもあるんです。だから、ダンジョンでとれた木製の杖を渡すんです。」

「そうすると、道具を使っているイメージ補正で使いやすくなりますし、魔力量が少なくても、木の棒が魔力の増幅器として機能するんで、格段に使いやすくなるんです。」

他の人に聞かれないように部屋の隅へ移動してからそういう話を聞いた。

そして、本来はこういう補助具なしでは魔法を使うのは難しいらしかった。

「私が担当した中だと、あなたで4人目ですね。」

そんな話をしていると、背中を軽く触れられた。

私が振り返ると、そこには困った表情の白雪さんがいて、

「出来ちゃった……。」

その手には氷の塊が転がっていた。

「今日は豊作ですね……。」

そうぼそっと言った白井さんに、私たちは困った表情を浮かべるしかなかった。

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