第13話:アビリティについて ー 考察 ー
タトゥーゴブリンのダンジョンから脱出し、病院に検査入院することになった日の夜。
私は窓際のベッドの上で一人外を眺めていた。
カーテンで仕切られた隣のスペースからは小さく寝息が聞こえてくる。白雪さんはすでに寝てしまったらしい。
まあ、もう11時だ。今日のこともあって疲れたのだろう。
私は手元のスマートフォンに目を落とすと、メッセージを確認する。
そこには親からの体を心配する内容のチャットと、冒険者ギルドからの現状報告のメールが映っていた。
あれからダンジョン内をCランク冒険者が調べたらしい。結果としてはタトゥーゴブリンがもう一体見つかった。
ただ、コアの部屋ではなく、別の場所にあった謎の黒い結晶体を守るように立っていたそうだ。
それらはCランク冒険者が言うにはCランク下位程度の力があり、私たちが勝てたのは奇跡とまで言ってのけたそうだ。
……否定しきれない。割と運の要素も大きかったし。
それはそれとして、倒すとこちらも三つの宝箱を落としたらしい。これによって私たちの言葉は真実とみなされて、もう一度だけ話をすることになった。
それは来週なので今気にする事ではないが。
あと、宝箱の中身は冒険者ギルドの規定どおり、一度危険度を評価されてからこちらへわたされるそうだ。
……さて。
私はメール内容を一通り頭に入れるとベッドの端にスマートフォンを投げ捨て、ベッドに勢いよく倒れこんだ。それまで落ちつけていた呼吸を荒くし、心臓の上のあたりの服を強く握りこむ。
抑え込んでいたが、あのタトゥーゴブリンとの戦闘中、途中からずっと心臓がきしむような音が響き続けていた。
そして、一通り終わった今、そのことについて私はそれに恐怖することを自分に許した。
怖い怖い怖い怖い。今も頭の中に心臓がきしむ音が響いている気がしてとても恐ろしい。いつ心臓が止まるか分からないというのがここまで怖いとは思っていなかった。
いや、正確には、その恐怖を始めて体感した。
しかもなんだ。急にきしみ始めて。危うく動きを止めてしまうところだった。あの時死んでいたらどうしてくれるのだろうか。
そんなパニックな試行と裏腹に、別の部分ではあの時の事を冷静に考える自分もいた。
あの時、タトゥーゴブリンへの不意打ちをしようとしたとき、心臓が生成する魔力量が爆発的に上昇した。
そして、想定以上に体が万全に、力強く動けたから、あの時パワーで打ち勝てたのだ。
ここまで思い返して、私は一つの仮説が思い浮かぶ。
私の心臓は状況に応じて多量の魔力を生み出せる。ただ、その代わりに生み出す量が増えれば増えるほど心臓への負荷がかかってしまうのではないだろうか。
もし、心臓の耐久を超える魔力を生成してしまったら、そうでなくてもこの魔力の生成が寿命を使う物だったら。
その日の夜はパニックを起こしては冷静に私の能力を考えてまたパニックを起こす。そんな繰り返しをしているうちに気が付いたら朝になっていた。




