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クリスタル・ウェポンズ~心臓が結晶化した私は助かるために現代ダンジョンに潜る~  作者: 彩名氏シエル


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第9話:初めてのダンジョン

本日は2話投稿です。2話目は21時に投稿予定です。

火野さんと白雪さんの二人と一緒に訓練ダンジョンに行くと約束してから2週間。

この2週間は訓練と座学を続け、昨日は簡単なテストで仮免許を得ることができた。

できるだけ多くの人に冒険者になってもらえるように工夫がされていて、国はどうやら冒険者の数を増やしたいらしいというのがひしひしと伝わってきた。

それはともかく、本日は初めてのダンジョンである。朝早くに冒険者ギルドのビルに集まると、バスに乗ってダンジョンへ向かった。

そこはコンクリートでできたコンビニを一回り大きくしたような建物だった。施設内にある更衣室で貸し出された衣服に着替える。

それは量産のジャージに防弾チョッキ、関節部にプロテクターを付けて、一本の木刀を持つという姿だった。

しいて、女子的ないい点を上げるとすればジャージの色をある程度自由に選べることだろうか。

私はクロに白いラインの入った一般的なやつ。白雪さんは薄青色の、冬を思わせる色にしたようだ。

更衣室を出ると、火野さんと合流する。彼は赤に白のラインの入ったジャージを着こんでいた。周囲の人を見ると割と色とりどりで、地味な色を選んだ私が恥ずかしくなってきた。

どちらにしろもう着替えることはできないので、あきらめて3人そろってこのコンクリートの建物…通称ダンジョンドームと呼ばれる施設の入り口に並ぶ。

「ダンジョンってどんな感じなんだろうな!?」

「講習で画像見たんだからわかるでしょ。洞窟型のダンジョンよ。」

テンション高めに火野が言えば、呆れたように白雪が答える。

「まぁ、一応入る前に軽く確認だけはしておきましょう。」

私がそう言うと二人ともうなずいてくれたので、事前講習で聞いていた注意点を声に出して確認していく。

「今回入るのは難易度が低すぎて私たちみたいな初心者用に残された監理ダンジョン。」

私がそう言うと白雪さんが続ける。

「出てくるモンスターはグリーンスライムのみで、階層は2層…うまくやれば1時間程度で脱出可能…だったわよね。」

「おう、そのはずだぜ。」

火野がうなずく。私はそこで今回の目的を再確認するように話す。

「で、今日は実践訓練で、最低1時間半、長くても3時間中でスライムを一人10体を目標に討伐をするのが予定です。」

「目も見たけど間違ってないわね。さて、順番も回ってきたし、さっさと入っちゃいましょう。」

私たちの順番が来たので、職員に名前と時間を記録してもらって、ダンジョンドームに入る。そこには直径3mの竪穴が開いていた。

「えっと…。」

事前に言われていたが、いざ目の前にすると言いようのない違和感を感じる。奥の見えない黒い穴が空いているのは、奈落に落ちてしまいそうな恐怖を掻き立てる。

「これに、手か足で触ればいいんだよな。」

火野が地震のなさそうな声で誰にともなく聞いてくる。私は無言でうなずいた。白雪さんもうなずいていたがその表情は不安そうだった。

「ほぼ同時に触らなきゃいけないので、3カウントで行きます。3、2、1、ゴー!」

私たちはその竪穴のような、ダンジョンの入り口に触れた。

瞬間、視界がグニャリとゆがみ、浮遊感が全身を包む。

………

気が付くと、私たち3人は洞窟の中にいた。

本当に天然の洞窟としか言いようのない場所だった。ただ、不可思議なことに、光源がないのに周囲は視界に困らないぐらいに明るいのだ。

「ふー。無事に入れたな。」

「そうね。」

「そうですね。」

全員で一息つく。入るだけでもかなり精神的に疲れた。

私は一つ息を大きく吐くと、意識を危険地帯に切り替える。

「さて、とりあえず探索しましょうか。私がマッピングするので、お二人は警戒をお願いします。」

「わかったぜ。」

「了解よ。」

そう言って、前を火野さん、後ろを白雪さん、真ん中に私という形で並ぶと、警戒しながらゆっくりと歩き始めた。

そして、歩き始めて10分。

「ピチャ、ベチャ」

そんな水のような音を立てて緑色の粘液が道の真ん中を進んでくる。完全にスライムだ。中央に黒っぽい核があり、粘液部分は小学校の時に作った洗剤から作ったスライムそのままだった。

「おりゃ!」

そういって、火野さんが持っていた木刀を振り下ろした。その動きは常人よりも機敏で、魔力で身体を強化しているらしい。

ベチャっという音をたててスライムがはじけ飛び、核が潰れる。

数秒後に飛び散った粘液が光の粒子に変わっていき、その場には長方形のスライムの塊が残されていた。

「お、思ったよりも簡単に倒せたぞ。」

「そうね。でも…。」

能天気にいう火野さんの後ろからゆらりとした動きで白雪さんが近寄ると、その頭を思いっきり殴った。

「いっ!?」

「言われたことも守れないのこのおバカ!?モンスターを見つけたらまずパーティに報告って言われたでしょうが!!」

そうがみがみと説教を始める。私はスライムから出てきたスライムブロックと呼ばれているドロップアイテムを拾ってリュックサックに入れる。そして、白雪さんの説教が終わるまで周囲警戒を始めた。

止めないのかって?だって言ってることは正論だし。火野さんには早めに矯正が必要そうだったので。こう、白雪さんの説教の仕方が手慣れている感じで、火野さんが注意事項を守れない人っぽいというか。

そして、説教と警戒を始めて1分。今度は後方からグリーンスライムが一体迫ってきていた。

私は二人に「後方から1体。私がやります。」と声をかけて手早く準備を行う。

身体に魔力を回して、最低限身体能力を強化する。そして、持っている木刀に魔力を纏わせる。

すると、表面を透明な結晶が覆った。そして、そこまで準備を3秒程度で終えると、すり足でスライムに近づく。

そして、残り1mというところでスライムが

「ピギャー」

という鳴き声?のような物を上げて飛びかかってきた。

私は正眼に構えていた木刀をスライムに合わせて切り払って、壁にたたきつける。

そして、動きの鈍くなったスライムの核を、結晶を纏わせた防護靴で踏みつぶした。


「はぁ。これでよしっと。終わりました。」

そう言って振り返ると、二人は感心したようにこっちを見ていた。

「何です?」

私が怪訝そうな表情を浮かべて聞くと、二人が一瞬顔を見合わせてから答えてくれた。

「えっと、教科書のような動きだったなぁっと。」と火野さん。

「そうね。お手本のような動きで感心しちゃった。」と白雪さん。

私は「ありがとうございます。」と言うと、木刀を振り払って、二人に合流する。

「さて、行きましょうか。」

「ねぇ、次は私が戦ってもいいかしら。」

「おう、じゃあ今度からはローテーションで行くぞ。」

そして、私たちの初めてのダンジョン攻略は進んでいくのだった。




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