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第4話 笑い

アレックは黄色い道を足早に進んだ。彼の中では、道の果てにはプリーツスカートの可愛い赤毛が待っている。脚を組んで座り、美しい太ももを見せながら。


ミシェルが自分の手に手を重ねたあの日を思い出した。あのときミシェルは、手のひらを合わせながら彼を見て、微笑んで言った。「そっくりね」左目の下に小さなほくろがあった。その目でウインクをして、それから一瞬、指を絡めてきた。さらに近づき、目を見つめて。「あなたの手、ほんとに小さいのね」そう言って笑い、去っていった。彼を、渦巻く思考と落ち着かない体だけを残して。


「アレック」マノロが頭の中で響いた。

「なんだよ」

「いえ、退屈でして。あなたと赤毛の娘の古い映画をリピート再生で見せられても、さほど面白くないのです。まあ、この赤いサルサのかかったポップコーンには感謝しますが」

「それはお前の趣味が最悪だからだ。ミシェルは女神だぞ」

「ええ、お会いした暁には失神する自信があります」

「……なあ、変じゃないか」アレックは少し黙った。

「何がです?」

「この世界で俺が知ってる中で、皮肉が使えるのがなんでお前だけなんだ?」

「まさか。何かの勘違いでしょう。私以外にも皮肉のわかる者はきっといますよ」


この最後の一言に、妙な響きがあった。


「ユルは頭の上を素通りする。サルバトーレは正直ほとんど皮肉みたいなことをするが、悲しいことに全部本気だ。つまり俺の身近では、本当に皮肉がわかるのはお前だけなんだよ」

「文化の違いでは」


アレックはまた考え込んだ。


「それだけじゃない。誰も笑わない。冗談も言わない」

「冗談は高度に混沌的なのです、旦那様。大量の混沌なくして、笑いはありません」

「芸術より悪いのか?」

「どちらかといえば、悲しい副作用です」

「じゃあ芸術と混沌は病気なのか?」


マノロが頭の奥で、ぼそりと響いた。


「お見事です、アレック。二次被害というやつです」


話しながら、アレックはユルを置いていかない範囲で全速力で歩いていた。気づけばユルは、茨の壁のようなものを剣で切り開いていた。


「こいつ、おとぎ話が好きだな」

「それが何の関係が?」マノロが聞いた。

「俺のミシェルじゃない、ってことだ」


ミシェルは古典のおとぎ話とディズニーを嫌っていた。理由の大半は、彼女を見た人間がみんな「ディズニーのプリンセスになれたのに」と言うからだ。間違ってはいない。ミシェルは何にだって完璧だった。


思い出した。手作りの弁当を持って学校に行った日のこと。ばあちゃんが「気に入るだろう」と思って買ってくれた古い弁当箱に入れていた。プリンセス柄の弁当箱は女子のものだ、なんてアビに言えるほど、彼はアビへの愛が軽くなかった。手放す気はなかった。それに、家で作った米とモーレのタッパーを運ぶ入れ物も必要だった。ミシェルにタキートスをご馳走するつもりだった。結局のところ、人の心を掴む最良の方法は、胃袋を掴むことなのだから。


その日、彼はうきうきと彼女のもとへ歩いていった。ミシェルは微笑んだ。アレックは弁当箱を掲げた。「そのバカな赤毛のプリンセス」彼女はそう言って、それだけで去っていった。タコスはフアンとジョエルに分けるはめになった。


そして今、黄色い道が急にバカバカしく見えた。進む気が失せた。


ユルは道を切り開きながら奥へ入っていく。


アレックはのろのろと、地面を見ながら歩いた。


「アレック?」だいぶ後ろにいるのに気づいて、ユルが声を上げた。

「なに」

「ごめんなさい、この種の任務の訓練を受けていないことを忘れていました。少し休みますか?」

「どうでもいい」


ユルはじっと彼を見た。アレックは地面を見続けていた。


ユルは、アレックの視線の先の地面に、ばたりと寝転がった。


「……何やってんの?」アレックは困惑して聞いた。

「話すとき、私を見てくださらないので。あなたらしくありません。見ていただくには、これしか思いつきませんでした」


アレックは笑い出した。するとユルも、伝染したように笑った。二人の体が、虹色のオーラを帯び始めた。


「どうやっているのです、それは?」マノロが聞いていた。


アレックは笑いすぎて尻もちをついた。


と、ユルが急に笑うのをやめた。


「大丈夫ですか、だんな……アレック?」怯えた声だった。

「ああ、笑いすぎて転んだだけ」

「笑い?」

「そう、今さっき俺たちがやってたやつ」

「旦那様……私、生まれて初めてでした。あんなこと」


アレックは思い出していた。叔父がアビを訪ねてくる午後。二人はテラで何を見るかで揉めるのだ。いつも通り、アビは連続ドラマが見たい。だが叔父はほぼ毎回押し切って、映画を見ることになる。ほとんどメキシコ映画。笑えるやつ。


アレックは特にヘルマン・バルデスの映画が好きだった。特に教師役のやつ。ヘルマンが面白くて、ダンスがうまくて、歌まで歌えるから――ではなく。いや違う。あの映画で特に覚えているのは、女子生徒たちのミニスカートから絶えず伸びる脚だった。


どれもミシェルの脚には及ばなかったが、当時はまだ彼女を知らなかった。


叔父とアビが笑うのを眺めながら過ごした、あの時間。


二人の真ん中に、自分。


ユルにとって、これが人生初の笑いだった。


アレックは黙って彼女を見つめ、不意に涙をこぼした。


「なぜ泣くのです、旦那様?」

「一度も笑ったことがなかったなんて、悲しくてさ」


ユルは彼を見て、近づき、肩に手を置いた。


「気に病まないでください。私の初めてでしたが、気持ちよかったですから」


アレックはユルを見た。今度はユルの言葉に真っ赤になって。当の彼女は、何が起きているのかわからない顔でこちらを見ていた。


「ほら、手伝ってくれ。あの小さな気取り屋を探すぞ」

「どなたです?」

「ラウラ」

「混沌の種の持ち主の名前をご存じなのですか?」


ユルはそこで固まり、考え込んだ。


「ああ、知ってる。先を急ごう」


ユルはもう一瞬、動かなかった。


「旦那様。あなたが混沌の種と面識があるはずがありません」

「へえ? なんで?」

「あなたが生涯で接触した行政職員以外の全人物は文書化されており、その中にラウラという名は存在しないからです」

「そのリスト、暗記したのか?」


ユルは黙り、眉をひそめてアレックを見た。切れ長の細い目、細い鼻、小さな口。


「お側に仕えるための必須要件です」

「俺が人生で接触した非行政職員のリストを暗記するのが?」

「はい」

「何人いるんだ?」

「三百五十四名」

「……長いリストだな」

「そしてその中に、ラウラは一人もいません、アレック」


ユルはアレックから目を離さない。観察している。


「……なんだよ」

「ここ数週間、あなたは変です」

「な、なんでそう思う?」声が上ずり始めた。

「まず、旅が始まってから、時々私を性的な目で見ます。以前は、私がどんな格好をしていようと、一度も見ませんでした」

「事実無根だ。俺にそういう興味はない」

「ええ、最初は私も疑いました。でも本当に見ているんです、アレック」

「まあ、あれだ、急に気づいたのかもな。見られるに値する胸元だったって」

「見られるに値する胸元?」


アレックは汗をかき、震えていた。


「どういうことです、アレック?」

「いや、知らんけど、急がないとラウラを取り逃がすぞ」それだけ絞り出した。

「いいでしょう。今は先を急ぎます。あの混沌の種を捕らえなくては」


アレックは汗を拭い、深呼吸した。ユルは彼をじっと見つめたまま、再び剣を抜いた。


「待て、ユル。ちょっと試させてくれ」アレックは両手を動かし、そこから飛ぶハサミが放たれて草木をすべて刈り取るところを想像した。マノロから、青い持ち手の金属バサミが湧き出し、茨を苦もなく刈り始めた。


小学四年に上がる前、父さんと買ったハサミと寸分違わなかった。そう、青。どうやらミシェルに出会う前は、青が一番好きな色だったらしい。


知るわけがない。あの頃は人生の何もわかっていないガキだった。だがあのハサミは、アレックの宝物だった。袋に入れて大事にしていた。バリリートというメーカーので、もう存在しないと思う。あれを見ると、父さんの笑顔を思い出した。片腕だけで自分を持ち上げてくれたこと。世界一強い男。それが、俺の父さんだった。もちろん全部、アメリカに渡ってしまう少し前の話だ。


「疑ってしまい、お許しください、旦那様」ユルが深々と頭を下げた。

「俺、何かした?」舌を噛む前に、自分で答えが出た。

「魔法です。行政官様にしか使えないものです」

「よし、誤解が解けてよかった。行くぞ」


ハサミが道を開き、茨の壁を難なく越えられた。


「いいでしょう、アレック。どこで知り合ったのかは聞きません。ですが、そのラウラについて何がわかっていますか」

「ええと、小柄で、黒髪の長いストレート、茶色い目、顔は可愛い系、体は引き締まってて、学校の水泳部所属、おとぎ話とその派生作品のオタク」


ユルは頷き、それから一瞬、虚空を見つめた。


「『体は引き締まってて』以降、何ひとつ頭に入りませんでした」

「もっと詳しく要る?」

「捕まえるのに彼女のスリーサイズは必要ありません、アレック」


アレックは真っ白になった。ユルは眉をひそめ、頬を半分ふくらませてこちらを見ている。


「なんでそれを俺に聞くのかわからないんだが」

「知ってるんですか?」

「まあ、推定ならできなくもない」


最後に誰かのスリーサイズを知ったとき――悲しいことに、それはミシェルのではなかった。どれだけ探りを入れても、調査以上のことはできなかった。だがあのイカれたホアナ、あれは別の話だ。


ホアナは文芸サークルの一員で、明らかにミシェルに執着していた。


「あたし34のC。で、あんたは?」ホアナはミシェルを見てウインクした。

「男子の前でやめて」ミシェルは真っ赤になり、トイレに立った。


アレックは去っていく彼女を目で追った。おそらく32のB。だが確証を得る手段はなかった。


「ジロジロ見てんじゃねえよ変態」すかさずホアナが言った。

「どの口が言うんだストーカー。お前の目、彼女の体に釘付けだったぞ」

「あたしは学校の更衣室で見放題ですけど? 嫉妬?」

「浴場まで個室の私立に通ってて残念だったな。おかげでお前のクラスメイトは安全だ」

「二人ともやめなよ」フアンは、いつも通り良心の声だった。


サークルに誘って正解だった。


ユルは鼻息を二回吐き、行ったり来たりした。深呼吸をひとつ。


「いいでしょう、旦那様」


母さんに叱られたときのことを思い出した。


「慎重に進みます。その魔法は構えておいてください。必ず要ります」


黄色いレンガの道を歩き続けた。大きな岩々のそばを通った。


「おかしいですね」ユルが言った。


アレックは足を止めた。


「どう?」ユルが何を言っているのか理解しようと、あたりを見回し始めた。

「この巨岩群、地図に載っていません」


アレックは岩を見つめた。黒く、亀裂だらけ。その亀裂に何か妙なところがあった。安定した形、とでも言うのか。まるで……鱗? そう、鱗だ。ただし巨大な。一枚一枚がユルの頭ほどもあり、リズミカルに動いていた。呼吸するように。


アレックは反射的にユルの肩を掴んで引き寄せ、手袋の手を前に突き出した。


「どうしました?」ユルが声を上げた。


そのとき。岩のひとつに、巨大な目が開いた。岩々が命を得て、十階建ての高さにそびえ立った。


巨大な、黒いドラゴンだった。


アレックは口を開けて見上げることしかできなかった。


「眠り姫のドラゴンが黒くて火を吐くことの、何が重要なのです?」マノロが頭に響いた。

「黒いドラゴンってのは普通、酸を吐くんだよ。でもこいつは違う。火を吐く」

「それを知って何の役に?」


ドラゴンが息を吸い込むのが見えた。


アレックは選択肢を考えた。氷では足りない。コンクリートは衝撃で砕けるかもしれない。いや、最善は金属だ。


考え終わるかどうかのうちに、ドラゴンが吐いた。


アレックは眼前に金属の壁を想像した。炎が二人を包み込んだが、今度は金属の熱が二人を焼き始めた。


金属が熱を放つ。選択肢は、鉄板焼きにされて死ぬか、変形のリスクを取って金属を冷やすか。アレックは後者を選んだ。


液体窒素の巨大タンク二基が金属へ絶え間なく噴射されるところを想像した。金属はたわみ、曲がり始めた。もうすぐ炎が届く。


本能で、アレックはユルを抱き寄せ、自分の体で覆った。ドラゴンが吐き終わる前に、前髪の一部が燃えた。焦げた匂いが立ち込めた。それから、首すじにかゆみ。


「大丈夫ですか?」ユルが聞いた。


先に聞いたのが自分でなかったことが、アレックには面白くなかった。紳士なのだ。時々忘れるだけで。


「おおむね無事だ。行こう」

「なるほど、知っておく意味がわかりました。ところで、なぜ自分を包む魔法の球体を想像しなかったのです?」マノロが頭の奥から言った。


アレックはその指摘に少しバカになった気分だった。やろうとはした。だが「空気だけが自分を守る」という理屈のどこかが引っかかって、映像に集中しきれなかったのだ。


「さあな。魔法の存在しない世界で一生過ごしてきたからじゃないか」

「ああ、なるほど。これ以上は申しません」

「これが終わったら、お前とはじっくり話し合おうな」アレックは心の中でマノロに言った。

「ユル、ドラゴンに接近しろ。攻撃は俺が防ぐ。お前の剣で心臓を貫くんだ。馬に乗れ」


このドラゴンの出典を、茨の出典を、アレックは覚えていた。結末も知っていた。どちらかが丸焼きになる前に終わらせられることを祈るだけだ。


「馬、とは?」


ペガサスを想像したかったが、正直あの動物は好きじゃなかった。昔からずっと、飛ぶのに何の合理性もない動物に見えた。重すぎる。


だから金属のロボット馬を想像した。ついでに、なぜ悪い、脚にロケットをつけて飛べるようにした。アイアンホース。


ユルは駆け寄って騎乗した。乗りながらアレックを振り返り、ありがとう、と言った。


ドラゴンはユルの動きを目で追い始め、ハエを追う猫のように、爪の一撃を繰り出した。ドラゴンの爪は五本指だった。


迫りくる爪を見た瞬間、アレックは思い出した。友達がハイタッチを求めるとき、ちょうどあんなふうに手を出すのだ。


空中に手が形成され、ドラゴンの爪と激突した。


巨大な、拍手の音が森を貫き、衝撃波がアレックをわずかに後ろへ押した。


ドラゴンは力の均衡を崩しながらアレックを見た。その顔は、アレックにはスローモーションに見える落下の間じゅう、彼を罵っていた。


これがラウラなのだ。芝居がかりが命取り。歩くクリシェでなければ気が済まない。アニメ映画のドラゴン込みで。


ドラゴンは鈍い音を立てて地に落ち、土煙を上げた。


「今だユル、胸を剣で貫け!」


ドラゴンが倒れるのと同時に駆け出していたユルは、馬から跳び、両手で握った剣を、渾身の力でドラゴンの胸に突き立てた。


その胸に、クリスタルを模した大きな赤いペイントの心臓が現れた。亀裂が広がっていき、ついには粉々に砕けて地に落ちた。


ドラゴンは黒い煙となり、風にさらわれていった。


ユルは剣を手にしたまま、ドラゴンがいた空間を見つめていた。


「混沌の魔法」ささやいた。「どうして私に、倒せたの……?」

「どういう意味だ?」アレックが聞いた。


ユルは剣の刃を見つめていた。アレックには、刃の上に色とりどりの小さな輝きが見えた気がした。


「殺せたはずが、ないんです」

「殺してない。俺たち二人でやったんだ」


ユルは彼を見た。


剣を帯に納め、立ち上がり、土を払った。インクの瓶とペン、書類の入った肩掛け鞄を確認した。すべて使用可能な状態。書類のしわを除けば完璧だった。戦闘の熱の中で、鞄を手放すのを忘れていたのだ。


アレックは馬を見た。


飛べるわけがない。ロケットは脚についている。飛ぶ協調性が備わっている確率より、変な動きひとつでバラバラになる確率の方が高い。


「最初からああいう設計で想像したのですか?」マノロが言った。

「ああ、似たようなのを他で見た記憶があってな」アニメとゲームのクリシェだとは認めたくなかった。ああいうのが起きるたびに嫌になる。俺はアーティストだ。何かの猿真似じゃない。

「ああ、なるほど。この着想群を参考にされたと」

「お前が俺の頭に住んでるの、忘れるんだよな」


ユルがアレックに近づいてきた。汗だくで、服はしみだらけ。いくつかは常に携帯しているインクのものだろう。息を整える間、アレックは肩を貸した。ついでに、見るつもりもなく、その体を見た。それから顔を見ると、頬の内側を噛みながら、じっとこちらを見つめていた。


もう一度、二人に小さな笑いが起き、かすかな虹色の光がともった。


煙の中に、女のシルエットが浮かんだ。カアシュの基準で言えばナク一体半、メートル法なら一メートル半ほどの背丈。


「やっと見つけた。ずーっと探してたんだから」


シルエットが姿を現した。赤毛の、巻き毛の娘だった。


そしてアレックは一瞬、息が止まった。



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