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第十四話「英雄たちの決着」

 


 間に合わない。と、誰もが思った。ヤツの真っ黒い爪は、もうすでにレナの首筋まで差し掛かっていた。


 その時だった。ヤツは一瞬驚いたように、攻撃をやめると、後方へ勢いよく飛ばされ、桜の木の幹に身体を激突させた。


 対角線上に、悟一の姿があった!

 彼は、波動拳を放っていたのだった。


「悟一!」

 歓喜の声を、栄一とヤマザキさんが張り上げる。


「いやあ、ちょっと遅くなってしまったよ。すまないね」


 彼は髪の毛を整えながら、そう言った。


「まあ、しかし厄介な相手もいたもんだね。ていうか状況、どうなっているんだ?」

 と悟一が言った。


「悟一、来てくれたんだね!」

 栄一が喜びの声を上げる。


「ヤマザキさんからお呼びの電話が掛かってきたから。それより、この女の子、味方なの?」

 彼はレナの顔色をうかがいながら、そう聞いた。


「私は…………分からない。誰を信じたらいいのか」

 彼女は悲しそうに言ったが、悟一は楽観的だった。


「なるほど、じゃあ、アイツをぶっ倒せば解決なのか?」


「貴方は亜師さまのお力を知らないから、そんな軽口を言えるのよ!!」

 レナは取り乱していた。悲しいほどに怯えた表情だ。


 栄一、ヤマザキさん、悟一の三人は、亜師と呼ばれた悪霊に目をやった。確かに、そこら辺の悪霊とは格が違うように感じられた。


 時が止まったようだった。

 先制攻撃を仕掛けたのはヤツの方だった。


 ヤツの素早い蹴りは、確実に悟一を捉え、彼は瞬く間に遠くまで飛ばされた。壁に激突し、彼は苦痛の声を吐いた。


「……つ、強ぇ」

 その表情を見て、栄一とヤマザキさんは身を引き締めた。あの悟一に対してあれだけのダメージを与えられえる悪霊を、彼らは警戒したのだ。


 息もつかせぬうちに、ヤツのその黒い身体は、もうすでに悟一の正面まで来ていた。その早業は恐ろしく、そして次の一撃も強烈だった。


 悟一のみぞおちに、打撃が入ると、その負のオーラが瞬く間に公園じゅうに広がり、一行を戦慄せしめた。


 だが、彼らは怯まなかった。

 狂乱とも呼べるような闇の波動が、悟一、栄一、ヤマザキさんの三人を撃ったが、彼らは確固として、自分達の信念を崩そうとはしなかった。


 悟一は立ち上がり、亜師に向かって、挑発の言葉をこう投げ掛ける。


「三対一じゃ、卑怯だからな。俺とおまえ、タイマン張ろうぜ」


 ヤツは笑った。嘲笑だった。

「何を可笑しなことをいう。例え小僧のような輩が百人集まったところで、俺には勝てんだろうに」


「勝ってから言うんだな!」

 悟一は先手を仕掛けた。


「バカがぁ!」

 が、力は奴のほうが高かった。悟一は簡単に蹴り飛ばされた。


 不意打ちでヤマザキさんが波動拳を打ち込んだが、それもなぎ払われる。もはや誰も歯が立たなかった。


 亜師が狂乱したかのように、激しい邪悪な球をそこらじゅうに放った。


 山崎さんは、その攻撃から、レナと自分の身を守るのに必死だった。


 そして栄一も、悟一も、それは同じだった。だが、ヤツの攻撃を見物しているうちに、栄一の心には、ある一筋の希望が浮かんできたのだった。


 それは悟一も同じらしく、攻撃から身を守りがてら、悟一は栄一に囁く。


「見えるか? ヤツには隙がある。ヤツが邪悪な力を放てば放つほど、ヤツの身体にほんの少し、虚空が生まれる。そこが弱点だ!」


「君も気づいたか! 攻撃を耐えきって、ヤツに大きな隙ができる時がチャンスってことだな!」


栄一の心には微かに希望が生まれた。だがしかし、その策はすでに見破られていた。


「気付いたって無駄なことよぉ、間髪いれずに駆逐してやる!」




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