最終話「英雄たちの歓喜」
この話で最終話です!
「気付いたって無駄なことよぉ、間髪いれずに駆逐してやる!」
虎が吠えるように、威圧的な眼差しで、ヤツは叫んだ。一行はみな、身が引き締まる思いだった。
「次の一撃で、貴様らまとめて殺してやるぜ、消えろ!」
亜師は、その巨大な爪を振り回し、空間を切り裂くような勢いで、闇の波動を身に纏い始めたのだ。
「くるぞ! 身を引き締めろ!」
と、吾一が言った。
ヤツの打撃は吾一を直撃したが、事前に彼が波動で気を練っていたため、急所への一撃は免れた。
「小賢しいわぁ!」
ヤツは回し蹴りを放ち、攻撃する。
吾一は受け止めることができたが、物理攻撃もだいぶ重い!
「……強ぇな」
それからヤツは、十回も闇の波動を放ち、吾一はひたすら波動の気で受け止める。
彼もまた、波動拳を十回も繰り返したが、ヤツは闇の波動で受け止めた。もちろん、栄一やヤマザキさんも戦闘に加わったが、ヤツの闇の波動は重く、直撃を受けた二人は、しばらくダメージが抜けず、地べたにうずくまる結果となった。
「君だけだ、吾一くん。ヤツと辛うじて戦えるのは。よくも悪くも、次で決着がつく気がするぜ」
と山崎さんが言った。
「彼が倒れたら、俺たちも終わりかもしれませんね」
と栄一が言った。
「弱音を吐くんじゃない。彼を信じようぜ」
二人は真剣に、勝負の行く末を見守った。
そして、閃光が煌めいた。
お互いの全ての霊力をかけた一騎打ちが巻き起こったのだ!
あまりの邪悪なオーラと、あまりの光の波動が交差した。
その場にいた全員が息を飲んだ。
光と闇のコントラストが公園を包み込み、それはまるで舞台でショーを見ているかのような迫力があった。
そして、光のコントラストに眩んだ一行の目がだんだんと慣れてきたころ、勝負はすでに決着していた。
倒れたのは、ヤツのほうだった!
亜師は、そのあまりの邪悪なる力が制御できなかったのだ!
「ぐっ……天が味方したな、レナ。俺が倒れたところで、お前に掛かった呪いは消えんだろうに」
ヤツは苦しそうな声で、捨て台詞とも言うべき声を発した。
「ぐっ、はっはっは!」
ヤツは笑った。空へと響き渡る大声で笑い、叫んでいた。
そのうち、ヤツの身体中を取り巻く黒い邪悪なオーラが、どんどんとヤツの周りの空間を巻き込んで、そして最後には、消えてなくなった。
辺りは静寂が訪れた。その静けさは、もう再びヤツが姿を現すことは無いということを示唆していた。
「……たいした野郎だぜ、アイツ、最後までレナを呪おうとしていたぜ。どうやら惚れられたみたいだな」
と吾一がレナに向かって言った。
彼女はうつむいていた。しかし次第に表情は晴れて言った。
「さっ、大団円といきましょか」
とヤマザキさんは言った。
栄一が近くのコンビニで飲み物を買って、公園まで戻ってくる頃になると、レナの表情はもうすっかり安心した表情になっていた。
そして少しほほ笑みを浮かべることもできるくらい、精神的には回復したようである。
「……みんな、ありがとうね」
少し恥ずかしそうに、彼女は言った。
「いいってことよ」
とヤマザキさんが元気よく言うと、いきなり大声で笑い始めたのだ。
「ワッハッハ」
と笑う彼につられて、みんなが笑った。
「じゃあ、乾杯しますか」
と栄一が買ってきたコーラのプルタブを、ぷしゅりと開けた。
「四人ぶんあるみたいだぜ、ほら、君のように美しい女性には、この缶コーヒーがお似合いさ」
とヤマザキさんは、レナに缶コーヒーを渡したのである。
「それとも苦手かい? ペプシと交換するかい?」
「いいえ、ありがたくいただきます」
と、彼女は答えた。
「それじゃあ、乾杯!!」
栄一がコーラを空高く掲げると、夜の暖かい風が吹き、桜の花びらが、可憐に散った。
<完>
ここまで読んでくれたみなさん。本当にありがとうございました! つたない文章力でしたが、思い入れのある作品です。ご精読いただき、今一度感謝を申し上げます! ありがとうございました!




