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第十二話「真剣勝負!」

 


 栄一は、悟一とは違い、戦いの初心者であったが、ヤマザキさんの護衛もあるということで、腹を括って少女と戦うことにした。


 まず、レナは藁人形を取り出し、そこに釘を刺した。すると、栄一の胸に鋭い痛みが迸ったのだった。


「……っ! 痛い!」

 彼は胸を押さえたが、ヤマザキさんの怒号が飛ぶ。


「痛みはブラフだ! 恐怖に支配されるんじゃない! 心に隙を作ることこそ、魔との闘いで最も避けなくてはならない課題だ!」


 彼のその声を聞いて、栄一は気をしっかり保つ。確かに、この程度の痛みでは、人を死に至らしめることはないだろう。


 次に、彼は先日、ヤマザキさんからレクチャーしてもらった波動拳を繰り出した。


 レナは避けずに、それを全身で受けきった。力を精査しているみたいだった。だが、しかし彼女は遠くまで吹っ飛ばされた。


「おう。俺も多少は悟一くんやヤマザキさん並に戦えるのかもしれないな」


 彼はやや慢心していた。その隙を少女は逃さず、栄一に邪気の波動を打ち込んだ。


 心の中心に、怒りや憎しみや恐怖と言った負の感情がストレートに入ってきて、栄一は戦いどころではなくなってしまった。


 彼は、苦しんだ。たしかに、これほどまで負の感情が大きく、そして尚且つ呪いの力も強大となると、彼女は苦しかったのかもしれない。


 しかし、これは戦いである。脂汗を流しながら栄一はやっと立ち上がると、自分に活を入れた。


「しゃぁーっ!」


 もはや二人とも油断はしていなかった。夜風はレナの黒髪を靡かせている。


「貴方たちような強い人に、私は今まで出会えなかった。名前を聞かせてくれる?」

 レナは冷静さを崩さずにそう問いかけた。


「ヤマザキです!」

 ヤマザキさんはそう自己紹介をしたが、張り切ったせいか声が裏返ってしまったので、少し恥ずかしそうな表情となった。


「長谷川栄一! よろしく!」

 と栄一は言う。


 レナは少しうつ向きながら、ありがとう。と小声で言った。心の底から助けを求めているようだった。


 その時だった。レナの様子が変わった。


 彼女は何かに怯えるように、辺りをキョロキョロと見回して、耳をふさいでその場にしゃがみ込んでしまった。


「……ごめんなさい。ああ、なんでこんな時に、呼ばれた。呼ばれた。ああ、あの方が呼んだ」


 そのあまりの恐怖の様子に、栄一とヤマザキさんは顔を見合わせた。いったいどうしたのだろう。


「きみぃ、大丈夫かね?」

 とヤマザキさんは彼女に近寄る。


「来ないで! 世の中には、貴方たちなんか、到底敵わないような魔物がいるのよ! 私は、ただ少し霊感があるだけだったのに、ああ。もう後悔してもしきれない! あの方に見入られてから、私の周囲で不幸なことばかり起きるの! もうやめて」


 彼女は、二人に忠告するように、しかし同時に自分に言い聞かせるように、叫んでいる。


 その独り言のような言葉を聞いて、二人はまだ見ぬ黒幕がいることを悟った。


「どうやら、彼女以上にヤバい奴が、宵闇にのさばっているらしいねぇ」

 とヤマザキさんが言う。


「これは悟一にも相談したほうがいいかもしれませんね」

 と、栄一が言った。


 すると、その時だった。彼女は地面にた折れ込み、恐怖に歪んだ表情で、手足をバタつかせ始めたのだった。


「ヤバい。何か起きるぞ!」

 とヤマザキさんは言った。


 レナは何かに足を引っ張られるように、彼女の身体はひとりでに、地面を引きずられながら移動を始めたのだった。


 そのあまりの迫力とおぞましさに、二人は異常を察知した。栄一は悟一に電話を掛けてすぐ応援を呼んだ。


 彼女の引きずられ方は凄まじく、呪いの正体がそこまで強力であることに彼らは驚きを隠せなかった。


「どこへ引っ張られているんでしょうか?」

「分からない! 取り敢えず追うぞ、栄一くん!」


 そういうことで、二人はレナの後を追うことにした。



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