表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夫に「ただの主婦」と言われた私、実は誰かの人生を変えていた  作者: すみれ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/66

第62話 意外だった

会社から帰ると、


夫は珍しく先に帰っていた。


リビングではテレビが流れている。


私はバッグを置いた。


「ただいま」


「おかえり」


夫はソファに座ったままそう返した。


私は着替えを済ませ、


そのままキッチンへ向かう。


冷蔵庫を開ける。


野菜室を見ながら、


今日何にしようか考えていると、


後ろから声がした。


「何か手伝う?」


私は思わず振り返った。


「どうしたの急に」


夫は苦笑する。


「別に。ただ聞いただけ」


怪しい。


私はそう思った。


こういう時は大体何かある。


「何か言いたいことあるでしょ」


そう言うと、


夫は少しだけ迷った顔をした。


「昨日の話なんだけどさ」


やっぱり。


私は包丁を取り出す。


「仕事の話?」


「うん」


夫はキッチンの入口にもたれた。


「お前、そんな忙しかったの?」


私は思わず笑った。


「今さら?」


「今さら」


夫も笑う。


私は野菜を切りながら答えた。


「普通に忙しかったよ」


「残業とか?」


「あったよ」


「結構?」


「まあまあ」


夫は小さく頷く。


その反応がおかしくて、


私は少し笑いそうになった。


「何その顔」


「いや」


夫は頭をかく。


「もっと楽な感じかと思ってた」


私は吹き出した。


「楽な感じって何」


「何となく」


夫は笑う。


「家でそんな話しなかっただろ」


それを言われると、


確かにそうだった。


仕事の話はほとんどしていない。


帰ってきたら疲れて寝るだけの日もあったけれど、


わざわざ言うことでもなかった。


「まあ、言ってなかったしね」


そう答えると、


夫は納得したように頷いた。


「何か意外だな」


「だから何が」


「ちゃんと働いてたんだなって感じ」


私は思わず手を止めた。


「失礼すぎない?」


「いや、そういう意味じゃなくて」


夫が慌てる。


その様子がおかしくて、


私は笑ってしまった。


夫も困ったように笑った。


その時、


鍋の味噌汁がふつふつと音を立てる。


「あ、やば」


慌てて火を弱めると、


後ろで夫が笑った。


「危なかったな」


「誰のせいよ」


「俺か?」


「俺です」


夫の笑い声が聞こえた。


しばらくして、


料理をテーブルに並べる。


夫は箸を取りながら、


思い出したように言った。


「そういえば」


「ん?」


「集まりの返事、今週中らしいぞ」


私は顔を上げた。


「もう?」


「らしい」


夫は味噌汁を飲みながら答える。


私は小さく息を吐いた。


「まだ決めてないんだけど」


すると夫が笑う。


「知ってる」


その言い方が少し腹立たしくて、


私は味噌汁を置いた。


「勝手に返事しないでよ」


「しないよ」


夫は笑う。


「たぶん」


「たぶんって何」


また夫が笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ