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夫に「ただの主婦」と言われた私、実は誰かの人生を変えていた  作者: すみれ


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第41話 見つかった

記者と目が合った瞬間、


背中が冷たくなった。


男は一瞬だけ驚いた顔をして、


すぐ隣の人間に何か耳打ちする。


嫌な予感しかしなかった。


受付の女性が必死に止めている。


「お約束がないと困ります!」


でも記者たちは引かない。


「少し話を聞くだけですので」


「今回の件について——」


私は反射的に顔を伏せた。


その時、


電話の向こうで母が強めの声を出す。


『ねえ、どうしたの!?』


私は我に返る。


「……あとでかけ直す」


それだけ言って電話を切った。


するとすぐ横に、


佐伯が来ていた。


「こっちです」


低い声。


私は何も言わずついていく。


エレベーターとは反対側の通路。


普段ほとんど使われない非常階段の前で、


佐伯が足を止めた。


「しばらく下に降りないでください」


私は苦笑する。


「芸能人じゃあるまいし」


でも佐伯は笑わなかった。


「今、下手に捕まると面倒です」


その顔を見て、


少しだけ現実感が出てくる。


本当に、


自分が追われる側になっている。


階下から、


記者たちの声が少し聞こえた。


「本人いるんですよね?」


「過労で倒れた件について——」


私は目を閉じる。


過労で倒れた件。


そんな言い方をされると、


まるで昔の自分が、


どこか別の誰かみたいだった。


佐伯が壁にもたれながら言う。


「……有名だったんですね」


私は小さく首を振る。


「違うよ」


有名だったわけじゃない。


ただ、


業界が狭かっただけ。


再建案件なんて、


関わる人間も限られている。


だから一度名前が出ると、


変に覚えられる。


それだけだ。


「でも」


佐伯が続ける。


「この記事、変です」


私は顔を上げる。


佐伯はスマホ画面を見せた。


記事には、


私の過去だけじゃなく、


当時の案件名まで書かれていた。


普通なら出ない情報だった。


私はゆっくり息を吐く。


「内部だね」


その瞬間、


佐伯のスマホが鳴る。


画面を見た佐伯の表情が変わった。


「……え?」


嫌な沈黙。


「どうしたの」


佐伯はすぐには答えなかった。


でも数秒後、


低い声で言う。


「あなたの旦那さん」


私は固まる。


「今、下にいるらしいです」


頭が真っ白になった。


「……なんで」


すると佐伯が小さく息を吐く。


「記者と揉めてるって」

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