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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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息子の遊び相手は……

 ふと、朝にPCを起動してメーラーを見るとメールが届いている。長文になりがちなのでスマホから来ることはまず無い。ソレも例に漏れずPCから送ってこられているようだった。


 内容は最近おかしな事が起きているので意見が欲しいとのことだ。


 それなりの年数働いていると住宅ローンくらい組めるようになる。自分でもよく貯めたなと思う金額で妻と息子を連れて多少都心より遠いところに一軒家を買った。


 いくら郊外だからといっても、破格の値段だったのが気になった。しかし、何かが起きたわけでは無いという不動産屋の話を信じての購入だった。


 その家に移り住んでから、始めは家族の気持ちに余裕が出たようで、笑顔が増え、買ってよかったなあと思わされた。特に息子が楽しそうにしているのを見ると本当に満足することが出来た。


 ただ、おかしな事に気が付いたのは越してきてから少ししてのことだった。とにかく息子がいつも機嫌が良いのだ。もちろん機嫌が良いにこしたことはないのだが、それにしてもいつ見てもニコニコしているのは以前の息子とは随分と違う。


 引っ込み思案なところもあって、よく泣いていた息子だったのに、引っ越してからすっかり明るい子になった。


 始めはストレスのない環境に引っ越したからだろうと思っていたのだが、どうも違うらしい。


 食事の時に、息子に良いことがあったのかと聞いてみると、『友達ができた!』と元気に言う。どんな友達なのかと尋ねると、家の裏庭に一緒に遊ぶ友達が来ているのだそうだ。その子とかくれんぼや鬼ごっこをしているのだと言う。


 いくら何でも裏庭に知らない子が居るのはおかしい。妻が入れたのかと思って尋ねたが、困惑する顔を浮かべるばかりだった。


 そんな時、偶然早上がりをする日があった。帰宅してみると息子が居ない。一人留守番をさせるには少し心配だったので探し回ると、息子は裏庭に居た。ただ、それを見てどう声をかけていいか分からなかった。


 息子は遊んでいるのだが、その手には位牌が握られている。何処からそんなモノを持ってきたのか?


 念のため、家の仏壇を見てみることにした。息子が家の仏壇から持ち出しているのであれば褒められたことでは無いが、叱るだけで済む話だ。


 しかし仏壇には全員分の位牌が揃っている。古いものから新しいものまで一つもかけていない。


 再び息子のところに行くと遊び終わったのか、泥だらけで家に上がるところだった。これはチャンスだと思い、息子に泥をお風呂で落としてきなさいと言いつけ、風呂場に走っていったのを確認した後裏庭を探してみた。


 すると一カ所、掘り起こしたような後がある。急いでガーデニング用のシャベルを使ってそれを掘り起こすと、カツンと言う音と共に、何かにあたった。


 掘り出すと出てきたのは古いお菓子の缶で、恐る恐るそれを開けると中には古い位牌が一つ入っていた。絶対によくないものだと思い、すぐに缶ごとゴミ袋に入れた。位牌をゴミ袋に入れるのは眉をしかめられそうだったが、息子が訳のわからないことに巻き込まれるよりずっとマシだ。


 それをゴミに出してようやく安心出来た。


 ただ、それから息子は以前と同じように、よく泣いたりグズったりするようになった。


 最後に『私のしたことは正しかったんでしょうか?』と書かれていたので、『息子さんのためを思えば良いことです。教育は生きている人間がやるべきですから』と回答しておいた。


 なお、この文には位牌の剣を隠して不動産屋が売ったのではないかと大量の恨み言が入っていたが、内容と関係無いため省略した。

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