表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談集「暗中」  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/130

どうして除霊が必要だと分かったのだろうか?

 あの時は珍しく酒を飲んでいたんですね、酒には弱いものでして、たしかイスに座って動画サイトを見ながら笑いつつ飲んでいたんですが、気が付いたら布団の中でした。


 どのくらい寝たのか、いつから意識が消えたのかは分かりませんが、二度寝するには時間が足りないのでPCの前に座って起動しました。


 起動が終わるまでにコーヒーを一杯淹れていると、起動して通知を読み込み始めたんですけど、その時に通知の音が鳴ったんです、ええ、メールの通知でした。


 何の内容かと読んでみると、心霊体験でした。大体こんなものです。


 まだ自分がガキだった頃、それはもう周囲で酷い遊びをしていた。ザリガニを釣ったりカエルを潰したり、時には甲羅干しをしているミドリガメを投げたりしていた。


 まあ酷い遊びだったので、今思うと動物から呪いなんてものを受けても文句は言えない遊びをしていた。まあソレが祟ったのだろうか、ガキだと言っても痛い目を見た。


 まだ小学生だったのだが、あるとき風邪をひいた、それ自体は珍しい事とも言わないが、その風邪がやたらと長引いた。こじらせたというのも違う気がする、悪化したり消えない後遺症が残ったりはしないのだが、体調が悪いのが延々と続いていた。


 学校を休めたというのも数日で飽きて、いい加減学校に行きたくなった。しかし体調が悪いのでそうもいかない、部屋から出ると倒れそうだった。


 そんな時、田舎からばあさんが出てくると言った。母親にうつすと行けないから部屋から出ないようにとキツく言われ、氷枕を思い切り冷やしてタオルに包み頭の下に敷いた。


 朦朧とする意識の中、何か言い争っている声が聞こえる。もうその声もはっきり考えられない。体力よりも意識の方が持ちそうにない状態だった。


 なにやら家のどこかで声があがっているようだ、当時の自分は『おばあちゃんが来たのか』となんとなく思ったのだが、挨拶一つできやしない。


 そうして意識がブラックアウトした後に、夕方になって目が覚めた。すると母親が自分を抱きしめてきた。風邪も続いていたのになんだよと思っていたのだが、そこで気が付いた、意識がやたらはっきりしている。


 体調の悪さも感じない。頭は平熱を感じるだけで、気怠さも感じない、突然風邪が治ったように感じた。


「よかったねえ、後でおばあちゃんにお礼の手紙を送っときなさいよ」


 そう言われて何の事か分からないでいたのだが、翌日からは登校できるようになった後、数日後にあの日のことを言われた。


 なんでも、始めは息子夫婦に会いに来て口を出すのかと思ったのだが、玄関を開けて出迎えたときにはむすっとした顔をしていて、何か不興を買うようなことをしたかと思っていると、つかつかと自分の部屋に向かったのだという。


 風邪をひいているからと、止めようとはしたのだが、不機嫌そうな顔をしたまま強引に入ってきたらしい。


 そうして人の言葉を聞かず、自分の机の横にお札を貼ったらしい。それからいくつかの箇所に同じようにお札を貼って、止めるのも聞かず持ってきていた日本酒の小瓶をクローゼットの中に置いておいたのだそうだ。


 それから『出来の悪いことを責めやしないけどね、人にはやってはいけないことがあるのよ』とだけ言って対応の暇も無く帰ってしまったらしい。


 それか間もなく目を覚まし、体調が良くなっているのを見て非常に驚いたという。その時に今までやって来た遊びを正直にゲロってしまうと、拳骨を一つもらうハメになった。


 それからその翌年、元日に祖父母の家に行ったが、お年玉は母親が向きになって固辞したので結構いい金額を逃してしまい恨み言の一つも言いたくなった。


 それからはなんとなくそういったタチの悪い遊びをする気が不思議と起きないようになり元気成長することが出来た。


『ばあさんが不機嫌そうだったり、除霊の真似事をしたのは理解できるんですけどね、実家とはかなりの距離があるはずなのにどうして俺がそんな罰当たりなことをしていると知ったんでしょう、それは説明がつかないんですよ』


 そう最後に書かれていた。私は『そういったことに勘が鋭い方がおられますから』と返信しておいた。彼は今、娘が生まれるのを待っているそうだが、娘には必ず無益な殺生をしないようにと教えるつもりなのだと書かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ