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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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お岩さんへの祈りと代償

 その時はPCの前に貼り付いているときにメールが届いた。作業が多かったのでメールチェックが後回しになってしまい、気が付いたときにはスパムの中に埋もれてしまっていた。


 送ってくれた人に申し訳ないと思いつつ内容をまとめた。


 私が住んでいたところでは妙な風習があった。お互い実家と折り合いが悪く、籍を入れると早々に通勤に困らない程度のところへ引っ越した。干渉されても嫌なので、出来るだけ気軽に来れないようなところにした。自家用車は必須だが、それなら公共交通機関だけで生活出来るお互いの両親がやってくることもないだろうと踏んでそう決めた。


 じっさいその通りで、両親はやってこなかった。その地方の町で普通に暮らしてイケルも野田と思い生活を続けていた。


 生活にも慣れてきた頃、夫が多少体調を崩した。数日間休ませてもらい体力の回復をとなったのだが、どうにも家で寝ていても調子がよくなることもない。ならばと一応病院にもかかったのだが、これといって異常は無いと言われてしまった。


 数日間夫が寝ているのを何処で知ったのか、集落の人が見舞いに来てくれた。その時に、一人が、○○寺の裏にあるお岩さんに挨拶はしたんか? と言ってきた。そんな人は知らなかったので『誰ですか?』と聞いたところ、『人じゃない、お岩さんは岩なんや。ちゃんとここで暮らすなら挨拶しといた方がええ』と言われた。


 その寺は割と近かったのだが、何があるのか知らないので行ったことはなかった。そこで藁にもすがる思いで寺に行くと『おお、岩さんに挨拶に来たんか、きちんと挨拶しなせえ』と言われた。


 そうして寺の裏に通されたのだが、そこには立派な岩が鎮座していた。これがなんだろうと思ったのだが、なんだか荘厳な雰囲気を感じたので夫が無事に回復してくれるように祈った。


 それから翌日になると、夫はすっかり良くなってまだ休養してもいいんじゃないかと言う言葉も効かず出社していった。


 その結果、夫もすっかり回復していたようで、車内でも一目置かれる存在になったそうだ。一応はめでたいことなのかもしれない。ただ、あのお岩さんと呼ばれる岩を祀っている寺には墓地がなかった。ふと不思議に思ってお礼をしに行ったときに尋ねたことがある。


『ここに住んでいる人は皆お岩さんに救われますからなあ……亡くなった方はお岩さんのところに行くんですわ』


 その言葉を聞いて、多分なくなった人の埋葬場所になっているんだろうと想像がついた。助けてくれる代わりに死後はこの岩の元に眠るのかと思うといくらか怖くなる。


 ただ、お岩さんというモノに認められてから夫婦揃って順調な生活を続けている。はたしてあの岩に人生を預けて良いものか悩んでいる。


 そう書かれていた。その村の詳細は省いたが、どうやらそこでは岩が信仰されているらしいのだが、検索してもそれらしいものが出てこない。


 メールにもう少し詳細を書いてもらえないと判断が付かないと返信したのだが、それに対する回答はついぞ届いていない。その岩が人を成功に導く良いものなのか、その代償に何か大きなモノを求めるものなのかは分からないままだ。

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