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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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おばあちゃんテレパシー

 あれは……ある時ネトゲをプレイしていたときのこと、その時は面白くプレイしていたし、文字だけとはいえプレイヤー同士でのチャットはあった。そんな時にオカルトが好きだと言ったとき話されたことだ。


 なんでも、彼……まあ当時のネトゲで出会った人のほとんどは男なので彼としておく。彼は田舎から出てきてネトゲが自由に出来る環境に移ったことを喜んでいたのだそうだ。


 ただ、大学への進学で親と揉めた。親は両方揃って名の知れた大学でないとならないと言う。


 ただ、名前が知れていれば安心だと思っていたそうで、どの大学で何をしているかなど調べもせず、名前が聞いて分かるようなところならいいと言い張る。


 当時は大学で専攻したいこともあったのでかなり揉めた、あまり有名ではないことを学ぼうとしていたので、大学も有名どころではなくなる、それが親には我慢出来なかったらしい。


 揉めた末に、学費以外仕送り一切無しという条件で進学出来た、ダメだというなら高卒で働くと言ったのが決定的だったのだと思う。


 無事に今で言うところの共通テストを受けて無事都心部へ進学した。


 ただ、都市部なのでどうしても家賃が高い。そこでとにかく安い物件にした、風呂なしトイレ共同の当時でも良いとは言えない物件だったがとにかく家賃が安かった。何とかバイトと学業の掛け持ちでやっていけそうなギリギリの家賃まで値が下がっていた。


 途中で取り壊される可能性があるがいいかと聞かれたのだが、選択肢なんてなかった。だからどんな物件でも良いのでとにかく契約をした。


 それからバイトと学業に明け暮れたわけだが、キャンパスでもバイト先でも日々顔色が悪くなっていると言われた。とはいえ、学友にせよバイト仲間にせよ、病院に行けと言うほど親しい仲でもなかった。


 そうして日々を過ごしていたのだが、顔色が悪いと言われていただけあって、それから徐々に体調を崩していった。


 そんなある日、実家から電話がかかってきた。正直出たくはなかったのだが、学費は出してもらっているので渋々電話に出た、すると『アンタ今何やってんの! おばあちゃんがアンタが大変なことになるって大騒ぎしてるのよ!』やかましくて少し懐かしい声が聞こえてきた。


 そんなことを言われても困るのだが、何か関係があるのかもしれない。渋々ながら次の長期休暇には実家に帰ることになったのだが、それまでに随分と体調を崩した。


「アンタ、ホントに大丈夫なん? 危ないこととかしてないでしょうね?」


 そんなことはしていないと言ったのだが続けて母親が言った。


「おばあちゃんね、このままだとアンタが大変なことになるって言って聞かないのよ、ホントになんもないん?」


 そう言えばと思いだしたことがある。バイト先は所謂水商売だった。ガッツリというほどでもないが稼ぎが良いのでのめり込みかけていた。怒られるだろうなと思いながらそのままを話すと……


 そのお金が学費に使われているのかと聞くと、家賃だけだときっぱりと答えた。


 まだホストが大問題になっていない頃だったのだが、後ろ暗い噂は聞いていた。そんな噂を知るはずもなければ、自分が何をやっているかも知らせていないのに何故そう言われたのだろうかとは気になった。


 二三日、実家に滞在をして帰ることになったとき、親が封筒を渡してきた。思わず受け取ると『お礼は?』と言われたので感謝の言葉を述べておいた。


 それから『そのお金は生活費に充てなさい、多少は増額したげるから、そういう仕事は辞めなさい、どうして持って言うならそのお金は返さなくてもいいから、アンタに将来養えとは言わないから受け取っときなさい』とまで言われた。


 多少は自分のしていることに自負もあったのだが、そこまで言われると気持ちが萎えて、ごく普通の昼間のバイトに戻った。稼ぎは減ったが、仕送りまでしてくれたので無事大学を卒業出来た。


 それなりに就職先も決まったのだが、地元にも支社があるところに決めた。たまには実家に顔を見せる機会があるかもしれないと思ったからだ。


 それからこうして暇なときにネトゲをしているそうなのだが、彼は私に聞いた。


「血は水よりも濃いって言葉がありますけど、知るはずのないことまで分かっちゃったりするんでしょうかね?」


 私は『そういうこともあるかもしれません』としか答えられなかった。

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