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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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子供というのは残酷なもので……

 その日は暇だったのでPCの前に座って隙あらばメールの受信ボタンを押していた。大半は精々スパムと営業メールが届くばかりだったが、もう来ないかなと思ったときに一通届いた。


 内容はとある方が体験した、小学校時代の奇妙な出来事だそうだ。


 小学校に通っていた頃、子供というのは残酷なモノで、道ばたに花が供えてあっても気にしないどころか、長い花束を手に取って、剣のように持って、当時人気だったマンガの必殺技を真似するほどには信仰も何も無かった。


 夏休みのある日など、アリの巣観察キットを使って自由研究をしたやつの家に行くと、自由研究がもう終わったと聞き、じゃあやってみようと、アリの巣の入り口になっている部分から水を入れた。


 当然だが自然の地面と違い、プラスチック容器の中に土を詰めたものなので、水を入れると逃げ場なんてなく、すぐに水没してアリの巣は全滅となった。


 冷たいようだが小学生の倫理観などそんなものだと思う。可哀想なんて言葉を知っていたか怪しいような時代だった。


 そうして動物からすれば堪ったもんじゃないような遊びを平気でしたりしていた。そんなある日、いつも通り遊んだ後で帰宅していると、その途中に段ボール箱があった。その前に紙が一枚『かわいがってください』と書かれていた。


 当時は動物を捨てる家庭も多かったし、今のようにバスの放流や亀をその辺の池に逃がしたり等、今そのツケを払っていることを平気でやっていた。


 そんな時代なので飼いきれなくなった動物を捨てたのだろうと思っていた。そっとその段ボール箱に近づいて、中を怖々覗いてみた。何が入っていようとこれを飼うことは出来ないのは分かっている。それでも冷たいようだが野次馬根性でそれを覗いてみた、そしてすぐに公開することになった。


 その箱の中に入っていたもの、それは肉塊だった。誰かがそうしたのか、イタズラで置いたのかは分からない。ただ、赤い肉塊がピクピク動くのを固まってみていた。


 それから「キャっ」と声がした、犬か猫かは分からない、ただ聞こえてきたのは確かに園はこの中の肉塊からだった。


 もうその箱などどうでもよくなり走って逃げ出した。あんなものが声を上げるはずがない、分かっていても耐えられなかった。


 息を切らしながらかなり離れたときだ。ふと嫌な想像が頭をよぎった。


 あの段ボール箱の中に入っていた肉塊が人間のものだとしたら? いやな考えだとは思ったが、当時は産み落とされた赤ん坊に残酷なことをする人間も割と多く、ニュースでも時々見ていた。そんなものである可能性を考えると体が震えてきたので必死に走って家に付くとゼエゼエ言いながらその日は布団を被って寝ていた。

  

 翌日にはあの肉塊の話は誰もしなかったのでこちらから同じ道を通る友人に話をそれとなく振ってみると、そんなものは無かったように言う。アレが自分だけに見えているものだとしたら……


 怖くなってそれ以来命というものを多少は大事に扱うようになった。あの肉塊は荒っぽく命を扱っていた自分への警告なのでは無いかと今は思っている。


 この方の体験は以上なのだが、偶然と言うべきか、その肉塊を見て反省の感情を持ってから霊現象というものは一度も見ていないのだそうだ。その一度が強烈だったからか、あるいはこれ以上戒める必要がないと思われたのか、とにかくそれきりだと書いてあった。


 私は勧善懲悪を信じているわけではないが、不必要に残酷なことをするとこんな事があるのだろうかと思わされたのだった。

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