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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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新人清掃担当

 私はその日、メールが来ていないのを確かめてコーヒーを一杯飲んでいた。今日は平和な日になりそうだと思っていたのだが、コーヒーを飲み終えるところで丁度メールが来た。


 内容としては、職場がどうにもおかしいというものだった。興味のある内容だったので読んで記録をしておいた。


 始まりは入社してから試用期間が過ぎてからのことだ。本採用になってから朝に出勤すると役員が揃って一部屋に入っていた。何か重要な会議だろうかと思っていたのだが、どうもソレが毎週行われていたことから何かあるのではないかと考えていた。


 そんな時、その部屋の清掃を任された。『あの部屋の掃除は男にしかできん』と言われて新人がその部屋の掃除を任されているらしい事を聞いた。


 その部屋に初めて入ったのだが、ブラインドがきっちり閉まっているので、壁のスイッチを探って電灯をつけた。未だに蛍光灯なのかと思いながら、済みにある掃除用具入れから掃除道具を出して掃き掃除から始めた。


 そうして窓際に寄ったときだ、てっきりブラインドが閉まっているので暗いのだと思っていた。しかし、窓に近寄ればブラインドの隙間から日光が入ってきてもよさそうだ、どうしてこんなに真っ暗なのかと思い窓の方を見た。


 そこは隣のビルとの間にある窓なのだが、普段見ないので気づかなかっただけで、実はその窓には内側からベニヤ板が張り付けてあった。ソレをまっ暗に塗って隅の方にはシーリングまでして光が入らないようにしている。


 何故こんな事までしているのかと疑問だったが、見られてはいけない部屋なのだろうと割り切って掃除を進めた。


 その時ガサガサと何か紙を丸めるようなカサカサくしゃくしゃという音がした。


 思わず部屋の中を探ってみるが、いくら探しても何も無い、椅子と机があるだけの部屋だ。何もおかしくないなと思ってゴミをまとめてから、ほうきとちりとりを掃除用具入れにしまっているときに気が付いた。


 よく考えれば掃除機を使えばいいのにどうして自分がほうきを迷わず使っていたのか気が付いた。その部屋には電源が無いのだ。コンセントの一つもない、電源と言えるのは天井についている蛍光灯への電源だけだ。


 コンセントは一つもないのに気が付いて、この部屋には何かあるのではないかと思っていた。ソレをこらえて布巾でテーブルを拭いて早々に退散した。


 その後、部屋の掃除を終えたことを報告すると『何か異常は無かったか?』と聞かれたが、あのガサガサ音のことは報告しなかった。何も無かったと言ったときに上司がホッとしていたのは、何かあったんじゃ無いかと思うのだが、多分一社員が知ることではないのだろうと気にしなかった。


 それからその部屋の掃除役になったのだが、数年、新人が入ってきたときに部屋の掃除を一緒にしたこともある。だが一緒に作業をした社員はすぐに辞めていった。きっとあの部屋には何かあるのだろうが、勤続年数の短い会社でもないのにあの部屋を掃除した社員が辞めていったのは気になっていた。


 だが、上司に尋ねても渋い顔をするばかりで、『あそこは人を選ぶんだ』としか教えてもらえなかった。もしかすると上司は何か知っているのかもしれないが、自分がきちんと給与をもらえて大変でもないのでやめるつもりは無い、ただの愚痴だ。


 そう書かれメールは終わっていた。差出人はまだ働いているようだが、彼にだけは何も起きていないらしい。ただ、毎年あの部屋を掃除させるのに新人を同行させることが決まってあるのは生贄扱いしているようで嫌なのだそうだ。


 真相は何も分からないが、その部屋にはきっと何か要るのだろうと彼は書いていて、自分がそういったものを気にしてしまう体質で無くてよかったのだそうだ。

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