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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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墓場ステージにて

 以前、スマホが普及するかしないかといった頃、妙な話が舞い込んできた。自宅サーバを立ててメールフォームは作っていたが、毎日虚無だったために消そうかと思っていたところに舞い込んだものだ。


 内容は以下のようなモノになる。


 今より昔、当時はネットなんてなかったからそれをおかしいなんて思わなかったのだが、どうにも今になると納得いかないことがある。


 呑気にゲーム機を買って皆で集まって遊んでいた。悲しいかな田舎なので同じゲームを持っている子がたくさんいるわけも無く、ケーブルは使われず、それぞれが同じゲーム機で別々のゲームをやって遊んでいた。


 親たちはいい顔をしなかった、当時のゲームなんてそういうモノだったし、中学を受験しろと言われていた子も居たので当然のようにゲームが目の敵にされていた。今思えばゲームをやめさせたからと言って勉強をするわけではないので、逆恨みだろうと思うのだが、当時は本気でゲームをやりすぎて学力が落ちるなんて言われていた。


 とにかくそんな時代に遊んでいたのだが、当時のゲームにはどうしてもバグが起きる。進行不能になるモノから、今で言う任意コード実行までやりたい放題だった。


 そんな時に一人のゲーム機からお経が流れ出した。皆ソイツに注目すると、プチッと電源を切って嫌そうな顔をした。


「なんで墓場ステージでバグるんだよ! 気味が悪いだろうが!」


 どうやら彼は墓地のステージで進行不能バグに入ってからお経が流れ出したという。皆当時はゲームの仕組みなど詳しくなかったのでそういうバグだと思っていたが、今思えば容量がカツカツのゲームソフトにお経なんてボイス付で流せるほど容量が余っているはずはない。


 ただ、当時はゲームが大容量を売りにしていたのでそれにも疑問を抱かなかった。キロバイトも当たり前のゲームソフトでそれがどのくらいの大きさなのか分からず、とにかく大きな容量なのだとなんとなく思っていた。


 そうしてソイツはゲーム機を再起動して再びプレイを始めたのだが、やはりお経のようなボイスが聞こえてきた。だが、今度は操作可能だったようで、再起動も面倒だったのかそのままプレイを続けていた。


 そうしてお経が止まったなと思ったので口々にどうした? と尋ねると、墓場ステージをクリアしたらお経が止んだのだという。不気味ではあったがそれからおかしなバグに遭遇することもなくプレイを続けていた。


 ゲームで遊んだ翌日、その時は夏休みだったのだが、いつものところへ来た彼は憑かれた表情をしていた。どうしたんだよと聞くと、なんでも夏休みの宿題に自由研究を、朝顔の観察で済ませようとしていたのだが、昨日まで元気に花を付けていた朝顔が、今朝起きるとしなびて所々茶色に変色し、枯れていたのだという。


「おかげで自由研究なんか考えないといけないんだよ」


 彼はうんざりするように言ったが、昨日のことと合わせて果たして偶然なのだろうかとその場の子供達はいくらか思うところがあった。


 そして、ネットを手に入れたのであのゲームのバグについて調べたところ、同じバグに遭遇したというヤツは一人もおらず、アレがどうして起きたのかは謎のままとなっている。


 というメールの内容だった。それはお経だったのか、もしかすると朝顔の悲鳴だったのか、真相は全て分からないままだそうだ。

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