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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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ゴミ屋敷でなくしたもの

 ある時、メールが届いたのだが、随分前に作ったアドレスに届いたので珍しいなと思いながらそれを読むと、怪談を残したいということで添付ファイルに書いているのだそうだ。


 添付されているテキストファイルを一応スキャンしてマルウェアが無いことを確認してから開いた。そこにはびっしりと文字が入っている。昔のことなので慣れない人がタイプして、改行の位置が分からなかったのかと思ったのだが、テキストファイルのデータを見ると何処にあわせても一行目となる。


 ソレから気が付いたのは、エディタの設定でウィンドウの端でテキストを折り返す設定にしていたのだが、ソレを解除するととても長い一行が現れた。


 改行が無いのかと思いつつ、軽く改行を入れるスクリプトを通してから読んだ。内容は町外れの家のことだそうだ。


 まだ子供だった頃、町外れに所謂ゴミ屋敷があった。お世辞にも誉められたものではないし、迷惑なのも確かなのだがその家は町外れの人があまり居ないところだったので庭にゴミが積まれて、多少臭いがしていても問題にはされていなかった。いや、家主に喧嘩を売りたくなかっただけかもしれない。


 そうしてそこにはゴミが大量にあるのが当たり前になっていた。そうなるとよくないことを考える奴もいる。処分の面倒な冷蔵庫や大型テレビなどを廃棄するときに格安で回収してそのゴミ屋敷の前に置いておくのだ。家主がどう思っていたのかは知らないが、そのゴミ達は翌日には庭の中のゴミ山におさまっていた。


 ある時のこと、からかい半分で友人達があのゴミ屋敷を見物してこようと計画していた。個人的には関わりたくなかったので参加しなかったのだが、その頃の携帯電話にはカメラが付いていた。


 彼らがゴミ屋敷を訪れた日、学校から帰ると集合してそこに向かったらしい。ただ、それ以降何があったのかは分からない。何があったのかはさっぱり分からないのだが、その晩、友人の一人が『晩飯』とタイトルに付けたメールを送ってきたのだが、そのメールに本文は無く、画像が一枚添付されているだけだった。


 その画像を開くと、一応は料理の方はまともだった、そう、料理だけはまともなのだが、その食器が子供向けのおままごとに使うようなプラ製の安っぽい玩具、しかもかなり汚れているものの上に乗っていた。


 どういう意図なのかと返信したのだがメールが返ってくることはなかった。


 翌日、学校で昨日のメールはなんだよと本人に聞いたのだが、彼はそのゴミ屋敷を見物しているときに道にはみ出たゴミ山を歩いていたが、その途中で携帯を落としてしまい、探そうにもゴミ山の中に潜り込んでおり、当時は携帯電話を一定期間使えばそれなりに安く買えたため、親に小言を言われるのと引き換えに買い替えることにしたのだそうだ。


 だからそのメールの送信者は知らないと彼は言うのだった。皆あの家のヤツじゃねーのと言っていたが、彼が小声で『なんで同じ飯なんだよ……』と言っていたのを聞き逃さなかった。


 その携帯からどうやって彼の夕食と同じものの写真を送ったのかは分からない。ただ、彼は次の携帯に機種変更してからしっかりとパスワードをかけるようになってしまった。


 怪談としては以上になる。幽霊も何も出てこないがなんとも気味の悪いことだ。今となってはそのゴミ屋敷も無くなったそうだが、アレが一体なんだったのかは今も分からないままだそうだ。

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