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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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井戸へのお供えの意味は……

 その日、何のメールも来ないなと退屈していたのだが、スマホを持って少々外出したときに、ふと外でネットに繋がらないのに気がついた。そこでようやくプリペイド式のプランにしていたのに、通信量を使いきってからチャージするのを忘れてしまっていた。


 アプリには繋がったので残量がゼロになっていることを確認してから課金をして通信量をチャージした。


 するといきなり4G回線がいくつもの通知をダウンロードして音を鳴らしてきた。メインスマホ出なかったので随分と通知がたまっていたらしい。


 その中のメールに奇妙なものが一通あったので読んでみた。


 俺の家にはなんともよく分からない決まりがある。裏庭には井戸があったのだが、毎日そこへ夕食を少し取り分けて供えることになっている。


 そんなくだらない因習をやっているのかと呆れていたのだが、困ったことにいくらか前からスーパーに米がならばなくなるほどの米不足がやって来た。


 米が少なくなると言うことは、毎食茶碗一杯の米というのもつらい。値上がりが激しすぎた。始めは朝食がパンになった程度だったが、家族の中でも年を取っている連中は米を食べたいと不平を言っていた。


 そうして夕食にご飯を出すにもなかなかの値段になってしまった。米が高いと不平を言うのだが、裏庭の井戸には毎回必ず米の食事が供えられていた。


 米がクソ高いのによくまあそんな不気味なものにお供えなんて出来るなと、それだけは欠かさない家族を見て思っていた。


 ある日のこと、雨の日で、それでも変わらず米を含む夕食をお供えにされていたのだが、その晩のこと。


 家族が寝入っている中目が覚めたのだが、水を一杯飲もうとキッチンに行っている途中、裏庭の井戸辺りを通るのだが、通りすがりにカチャンと音がした。そっと裏庭に通じる窓を開けてみると、水しぶきと共に何か動物がお供えをひっくり返していた。


 そりゃそうもなるよなと思いながら窓を閉めようとしたときだ、キィと小さな声で狸か何かが鳴いたような気がしてみると、井戸から青白い手が出てきていて、動物をひっつかんで井戸の中に入れていた。


 翌朝、お供えを引き上げてきたときには綺麗に配膳されて中身が空っぽになったようになっている膳があった。


 もしかすると、井戸へのお供えは初めっからそれを食べられる前提ではなく……そう考えると背筋が寒くなった。


 一体誰がなんのためにしているのか? 考えたくない話だった。あの井戸には一体中に何がいるのか? 家族の誰もが平気で井戸にお供えをしている理由も、あの青白い手の正体を知っているのではないかという推測も、頭に焼き付いて離れなかった。


 考えたくはない、それでももう暫くはここで暮らす必要がある。気休めでもいいから何か方法があったら教えて欲しい。


 以上の内容が書かれていた。そこに何がいるのかは分からないものの、きっと粗末に扱っていいものではないのでしょうと答えておいた。この回答に彼が満足したのかは分からない。ただ、彼が自分の代で井戸を安易に埋めないことを祈るばかりだ。

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