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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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子供が大人の事情に口を挟んだ件

 その日はメールチェックをしているときに、妙にスパムフォルダに入っているメールの数が増えていることに気が付いた。どこかからメールアドレスが漏れたのだろうかと思って内容を確認した。


 そこには一通の怪談と、ソレに返事がない事へのお怒りのメールが大量に入っていた。あまりにもまとめて送ったせいかスパムフォルダに入ってしまったのだろう。一応見ておこうと思い目を通した。


 その内容は現在困っていることだそうだ。


 送信者は現在夫の実家で暮らしているそうだが、基本的にあまり良い扱いを受けていないのだそうだ。


 私は夫の口車に乗って同居をすることになった。夫は子供が生まれたときに仕事を続けられるよなどと言って実家に同居させたのだが、義母は子供の面倒を見ないとハッキリ言うような人だった。その上に実家の全員分の家事も任されてしまい、貧乏くじを引かされる結果となった。


 だが、子供ができたので別れることも出来ず、子供の世話をしながら何とか生活をしていた。だが、精神をすり減らすような日々に我慢が出来ず、子供に恨みをぶつけたくなるようなことも日常茶飯事だった。


 ある日、子供に離乳食を食べさせていたときだ。家族の誰もが協力してくれず、苦労して育児をしていたのが、多少は楽になるかと思いつつ、離乳食を口に運んでいたときだ。子供が突然老人のような声で声を出した。


「おかあさん、らくになりたい?」


 言葉は子供っぽいのだが、声は長く生きてきた老人のような声をしていた。まだ言葉が出ていなかったのでそんなことをいうのがおかしいのだが、思わず『うん』と答えてしまった。


 だが、子供は何も答えず再び離乳食を食べる普通の子供に戻った。その子のことを気にする余裕もなく、その時は自分が疲れているのだろうと思った。


 その晩から、義母が自分に辛く当たり始めた。なんでも、子供の泣き声がうるさい、母親なら子供が泣いていたら夜でもあやせと言う。


 ソレはおかしい話だった。家はそこそこ広く、自分は子供と同じ部屋に寝ている。義両親は自分と子供が寝ている部屋とは随分と離れている。声がそこまで響くなら目が覚める理由は無い。


 それからも子供がうるさいと言い続け、流石に夫もおかしいと思ったのか、近所にある病院に認知症の検査をしてもらうために連れて行った。自分はそんなボケていないと必死に主張していたが、明らかに認知症の症状が出ているということで、介護施設へ入ることを推奨された。


 義母は大いに嫌がったが、自分にも火の粉が降りかかるのを嫌った夫が義母を施設に入れた。それから施設では子供の声がするとはまったく言っていなかったそうなのでやはり症状が出ていたのだろうとなった。


 まだそこまでの症状が出ていなかったので、それなりに施設で暮らすでしょうと言われたのだが、一応義母なので面会はしておこうと思ったのだが、夫が『お袋が絶対に嫁と子供は連れてくるな』と言ったらしく、結局まだ存命ではあるが、向こうが断るので施設には一度も行っていない。


 アレは子供が何か感じて起こした怪奇現象だったのか気になって仕方ないのだが、もう調べようも無いことです。あの子への対応は今後どうすればいいでしょうか?


 そう書かれていたのだが、私は『子供は時に不思議な事をするものですよ』と返信しておいた。一応問題は解決したようだが、彼女からすれば、将来子供がどうなるか心配で仕方ない様子だった。

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