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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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その部屋では何かがあったのだろう

 いまよりずっと昔、まだPCでのメールか電話が主な通信だった時代のこと。その頃にはクラスの中でもオタクと言われる連中……もっとも自分もその一人だが……にはメールアドレスを公開していた。そんな時に届いた奇妙なメールだ。


 そのメールは、よほど焦って書いたのか、全角アルファベットで書かれ、ローマ字で『nihongogautenai』と書いてあった。


 IMEの設定ミスでそんなメールを送ると笑われるだろうから送るはずが無い。なんとなくだが文面は焦りながら書いたモノのようだった。


 本文は全部ローマ字で書かれていたのだが、流石に読みづらいので日本語に直して記そう。


 家の中で変なことが起きる。家で寝ているとキィキィと音がしたり、部屋の蛍光灯がパチパチと音を立てるそうだ。


 蛍光灯が寿命なのかと思ったのだが、その後に『蛍光灯の管の中に蛾が入っている』とも書いてあった。天井の照明カバーの中に虫が入ることは多いが、携行缶の中に大きな虫が入るのはおかしい、何か異様なことが起きているようだ。


 その他にも、玄関で靴を履こうとしたら、靴箱に入れていたはずの自分の靴が、家の中に駆け込んだような向きでバラバラに転がっていたそうだ。


 時には深夜に窓の外を明かりが通り過ぎていき、無視しようとして、そう言えば窓側は自動車が通れるような道に面していないことを思い出したりしていた。


 この家で何かおかしな事が起きている、お前はよく図書室で心霊本を読んでいるし、何か心当たりがないかと聞かれた。


 全文を読むのにかなりの時間がかかったが、文節にスペースを入れてくれるなどしていたため何とか読むことが出来た。


 さて、頃になんと変身したモノだろうかと思案した。正直オカルトに傾倒していただけで当時は知識なんて何も無い。


 答えようが無いのだが向こうも切羽詰まっているようなので、近所の神社に参拝してお守りももらっておけばどうかと丸投げした。


 そんな雑な回答をしたわけだが、その日は金曜日、土日の連休を挟んだのだが月曜日にメールを送ってきたヤツは来なかった。何かあったのかと不安になったのだが、翌日には登校して俺に話をしてくれた。


 なんでも神社に行き、参拝をしっかりして、お守りもきちんともらってソレを枕元に置いて寝たのだそうだ。すると夜に何か重いモノが動く音がして、その後ドアの開く音がしてそれきり寝てしまったのだそうだ。


 ただ、朝に目が覚めると部屋に置いてあったカラーボックスが動いており、その下は日に焼けていない畳に黒いシミが付いていた。


 家族にその事を尋ねたのだが、気のせいに決まっているといわれてしまった。ただ、月曜日に家族総出で少し遠くの有名な神社に行き、お祓いをしてもらったのだという。そのため月曜は休みだったのだそうだ。


 正直どう言っていいのか分からなかったが、それが何のシミなのかあまり想像したくないし、その話をするとコイツを怯えさせるだけだろうし、お祓いをしたなら大丈夫だろと言っておいた。彼は今も元気にしているのだが、大学から実家を離れて暮らしており、時折彼のご両親と会うと『うちの息子は買えって来りゃしない』という愚痴を聞かされるのだが、どうにもそれが正解のような気がしてならない。

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