表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談集「暗中」  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/77

先輩に降りかかった災難

 その日、昼にラーメンを注文して待っている間にスマホを弄っていたときにメッセージが届いた。偶然かもしれないが、その時注文していたのは豚骨ラーメンで、豚骨ラーメンが有名な地域での出来事だと書いてあった。


 俺は大学生の頃遊び歩いていた。大学への入学がゴールだと思って、合格の番号を確認したら四年間の遊び歩いていい時間を手に入れたのだと思っていた。当時の自分が浅はかだったとは思うのだが、今更後悔しても仕方ない。


 そうして入学すると、遊べそうなサークルを選んだ。そして飲み会に参加出来るようになってのことだ。先輩は酷く泥酔して、金をドンと叩きつけて寝転んでしまった。割り勘の分には十分な金額だったので、その先輩を放置して飲み会は続いた。


 そうしてお開きになったときのことだ。先輩のアパートが自分のところから近いという理由で送っていけと先輩に言われた。


 これで先輩が美人だったら少しは違ったのかもしれないが、潰れた先輩はガタイのいいいかにも体育会系という人だ。体よく押しつけられたなと思いながら先輩に肩を貸して何とか連れ帰ろうとした。


 肩を貸しているときに履かれたら堪らないなと思いながら、出来るだけ揺らさないように先輩を歩かせた。


 先輩は何とか歩いていたのだが、その途中、うっぷと声を出したので思わず肩を離してしまった。深酒をした状態で支えが亡くなった先輩は、近くにあった電信柱に体を預けてそのまま胃の中身をぶちまけた。


『先輩、大丈夫ですか……』


 そういったところで先輩が吐いたその先を見てしまった。そこにはゲロにまみれた花束が置いてあった。そこで何が起きたかは書いていないが、花束が置かれているということはある程度の事があるのだと思った。


 それでもなんとか先輩を送り届けて自宅に帰った。


 翌日、先輩は青い顔をしてこちらに話しかけてきた。寄ったあとの記憶は無いのだが、昨晩夢の中で道を歩いている夢を見て、その途中におばあさんがしゃがみ込んでいて、声をかけると凄い力でつかみかかってきてもみ合いになるのだが、その婆さんは見た目に似合わず凄い力をしていて目が覚めた頃には運動もしていないのにヘトヘトになってしまったそうだ。


 俺は知らない方が良いだろうと『夢でしょう? 気にしすぎじゃないですか?』と嘯いておいたが、先輩はそれからも時々その話をしてきた。


 先輩は就活も始まってから面接までたどり着いたかと安心すると、本番前日にあの夢を見て疲れ切った体で面接に向かって酷い結果になっている。


『お聞きしたいのですが、先輩はもう四回生で就職浪人しようか悩んでいるそうです。俺の方は大丈夫ですよね? 実は……あそこについて調べたんですが、なんの事故も事件も起きてないんですよ。何かあってのことならまだ安心出来るんですけどね……理由も無く先輩が酷い目にあっていると思うと怖くなるんですよ』


 最後にそう書いてあった。私は『問題無いとは思いますが、当該の道は通らない方が良いでしょうね』と月並みな答えを返信しておいた。


 一応書いておくと就職氷河期の話ではないのだが、それでもその先輩は未だに就活をしているのだそうだ。不用意な深酒はロクな結果にならないなと思いながら私はラーメンを食べた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ