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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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人が変ったようになるところ

 時代というヤツか、電話の回線維持費はどんどんと下がっていっている。新しいMVNOがとんでもない安さでサービスを提供し始めたので早速契約をしてみた。実用性はどんなものかと試すだけだが、そのSIMを指して一通り、スマホのセットアップをしたところでメールが飛んできた。


 内容は困っているので何かアドバイスをもらえないかというモノだった。俺は何でも屋では無いんだがなと思いながらもメールを読んだ。


 住んでいる町の中、一件の大きなスーパーがあるのだが、その駐車場の中の一カ所に立ち入り禁止となっているところがある。わざわざフェンスまで建てられているほどだ。


 事情は深く知らないが、そこは禁足地であると公然の秘密になっていた。誰もが入ってはならないと知っていたのだが、何故入ってはならないのかを知ってはいなかった。昔からそうだからというシンプルな理由で誰も近づこうとしていなかった。


 理由が分からないからと、侵入しようとするマナーの悪いものも時々出ていたが、それらは誰もが入ろうとしてその禁足地の近くで倒れて居るのが見つかっている。地域の人は『またか』という扱いで適当に流していた。


 その暗い身近な禁足地だったので日常に溶け込んでいた。ただ、自分の身近から禁足地に入ろうとするヤツが出たのは問題だった。


 友人はその禁足地に忍び込もうと誘ってきた。あそこは怖いから入りたくないと言ったのだが、その友人は他のクラスメイトを誘っていた。高校生特有の無鉄砲というヤツだろう。


 その晩のことだ。スーパーの敷地から大きな叫び声が聞こえた。悲鳴ではなく咆哮のような叫び声だった。


 その後になって聞いたところによると、友人達は数人でペンチを使ってフェンスを切断していたらしい。今まで忍び込もうとした連中はフェンスを乗り越えようとしていたので目だったが、フェンスを切断するのは考慮していなかったらしく気が付くのが遅れたらしい。


 そうして集団でそこに入ろうとしたところでその声があがったのだと聞いた。


 だが、そこに入ろうとした数人は全員数日してから登校してきた。何の異常も無いのだが、友人達はそれから人が変ったように勉強熱心になった。しかし、それまで習っていたはずの科目のいくつかを忘れてしまったようになっていた。


 なんだかしゃべり方も古風な感じに変ってしまい、それが戻るまでしばらくかかった。


 一応友人達は怪我一つ無く戻ってきたのだが、なんだか付き合いが悪くなってしまっていた。アイツらの人の変りように困っているのだが、友人だけでも元の様に戻せないかと書かれていた。


 おそらくその禁足地に入って何かがあったのだろう。私はそれに神仏に頼ってはどうでしょう? と回答した。住んでいるところに寺も神社も無いと言うことはないだろう。そもそも送信者の気にしすぎだという可能性もあるが、気休め程度には勧めておいた。


 後日、同じメールアドレスから『ご友人方は人を助けたのです。忘れなさい』と言われたそうだ。


 今彼は、あの禁足地には友人達が囚われて、今までいた何かが友人達の身体に入ってしまったのではないかと疑っているそうだ。ただ、歴史をひもといてもその禁足地の謂れは何も見つからなかったという。

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