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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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義務の範囲は……

 その日、朝目が覚めるとコーヒーを一杯飲みながらスマホをチェックしていると、メールで相談が入った。一応要点をとらえた文章がきちんと書かれていたので、回答がしやすくて助かった。


 始まりは引っ越してからだ。地方に単身赴任になったので安いアパートを借りた。長期ではないと説明されたのでしばらくの間自分一人が住めれば良いと安アパートを選んだ。息子と娘の学費なども稼ぐ必要があるのでその辺は節約をした。


 そうして新しい環境に引っ越したのだが、なんだかそのアパートに住み始めてから様子がおかしいことがある。


 食べ物を買っておくと時折減っていることがある。始めはなんだかこの辺りは食品の量が少ないのかと思っていたのだが、一度炭酸飲料を買っていたとき、未開封のままのペットボトルから半分ほどの中身が減っていて、これは流石におかしいと思った。


 その頃、ちょうど新しいスマホを買っていたので、旧スマホを電源に繋いだまま録画モードで冷蔵庫に向けておいた。


 翌日、最低画質で録画を続けていたスマホを外し、ストレージを圧迫するほどの動画ファイルをPCに移して見てみることにした。


 冷蔵庫を映し続けているのだが、冷蔵庫を置いているところは真っ暗なので何も見えない。倍速で流しながらどこかおかしいところがないか確認をした。飛ばし飛ばしにPCで映像を確認していると少し光が見えるところがあった。


 そこを調べてみると、どうも冷蔵庫の中から光が漏れているようだ。そこで、冷蔵庫のドアが開けられたあたりにシークバーを移動して観察してみた。


 そこでは何も写っていないのに冷蔵庫のドアが自然と開いていた。ドアが開くと、何も写っていないのだが、ガツガツ、クチャクチャと何かを食べている様な音がする。だが、動画には何も写っていないのに、音だけがするという奇妙なものだった。


 しばらくソレが写ったあとで、ドアがバタンと力強く閉められた音がして、唯一の明かりであった冷蔵庫の中から漏れる光が消えて真っ暗に戻った。


 アレは一体なんだったのか? それは分からないのだが、冷蔵庫の中身を全部捨て、それから今は外食をしているのだが、不動産屋に聞いてもその部屋では何も事件も事故も無かったと言われてしまった。


 最終的にそのメールには『引っ越した方が良いんでしょうか?』と書かれていたので、私は瑕疵物件を告知する義務があるのは次の住人のみで、不用意に諍いを起こすよりも素直に引っ越すことをオススメしますと書いて送った。


 後日、『ありがとうございます、引っ越したら何も起きなくなったんですが、あの部屋でいったい何があったんでしょう?』というメールが来たが、『それは分かりません』としか変身することが出来なかった。

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