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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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朱色の鳥居は凶兆か吉兆か?

 その日は夜にぼんやりとしながらメールチェックをしていた。この時間に急ぎの用件が来ることはないが、暇な人が良くメールを書いている時間だからだ。


 いつもの様にメーラーの更新ボタンを押すと一通のメールが届いた。ソレには珍しく一枚の画像ファイルが添付されていた。一応スキャンもかけたのだが、悪意のあるファイルと認定されなかったのでひとまず本文から読むことにした。おおよそ以下のようになる。


 あの日、久しぶりに実家に帰ったのだが、その時に昔からの同級生に出会った。久しぶりだなと旧交を温めていると、アイツは妙なことを言う。


「なあ、くだらない話だと思って聞いて欲しいんだけどさ……」


 そう言ってから始めた話は奇妙なものだった。


「うちのオヤジなんだけどさ、最近どうにも頭の方がな……」


 その言葉で認知症というのが真っ先に浮かんだ。俺たちももうそういう年なんだなと思いながら、愚痴でも聞いてやるつもりで話を聞いた。


 ソレによるとここのところ急に認知症が進んで普段はしないような行動をするようになったらしい。


 ただ、その原因が問題なのだそうだ。


「ほら、俺もさ、コンビニに行こうと思って車を出したんだがな、町の外れのほうに明かりが見えたんだよ。でさ、コンビニで酒を買ってから帰っているときになんとなく気になって明かりを見に行ったんだよ。そうしたらさ」


 ソイツの言うところによると、明かりが見えたところには神社があったらしい。いや、正確に言うと、神社ではなく、鳥居を見てから、その奥のほうに光っているものが見えて怖くなりすぐに逃げたそうだ。


「でさあ、その事があってから親父もいきなり年を取ったみたいに認知症が進んでな。もちろん偶然だと思うんだが……あの鳥居が無関係とも思えないんだよな。だってあそこに神社なんて無いだろ?」


 それは良く分かっている。神社なんて早々新しく気軽に建てられるものじゃない。コイツが知らないということは建てられることなどなかったはずだ。自分でもその辺にあった神社を考えるが思い当たるものはない。


「まあなんだ、俺も何かを見間違えたのかもなあ……悪い、やっぱ気にしないでくれ」


 そう言ってソイツと別れて家に帰ることにした。その時車をしばらく走らせたのだが、住んでいる町に入った頃、明かりが見えた。一本道なのでそこを通ることになる、通りがかりにそこを見たときだ。朱色に塗られた鳥居の奥に明かりのようなものが見えた。


 なんとなくその時直感的にコレがアイツの見たものなんだろうなと本能として理解した。


 内容としてはおおよそそのようなものなのだが、最後に『まだ何も起きてないんですけど、放っておいて大丈夫なんですね? 出来ることがあれば教えてください。あとそこを次に通ったときは鳥居なんてなかったんです』と書かれていた。


 彼の詳細は書かれていないので不明だが、返信に『気にしない方が良いですよ。そういったものを観てしまうことはありますから』と書いて送った。


 見てはいけないものを見たのだろうか? それは分からないのだが、後日おそらく同じ送信者だろう方から、『アレ見てから、パチンコで大勝ちしたんですよ、ここのところ勝ち続けてるんですが、アレって縁起物だったんでしょうか?』と書かれて送られてきた。


 私は依存という言葉に一抹の不安を覚えながらも、本人は喜んでいるようなのでそれには当たり障りのない返事をしておいた。それ以降メールがないのでどうなったのかは不明だ。

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