表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪談集「暗中」  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/77

写っていた写真と写っていなかった写真

 私はその日、定期的に言っている神社に行っていた。こんな事を記録しているとついつい神仏の力にも頼りたくなるものだ。


 小さな神社に入るとすぐにある本殿の賽銭箱にお賽銭を投げて手を合わせる。そうして帰ろうとしたときのことだ。スマホのメッセンジャーに通知が来ていた。神社にいるときにこんな話が届くんだと思いながら話を読んだ。


 最近どうにも変なことがよく起きる。夜に作っていた煮物が翌日に原形をとどめないほど傷んでいたり、水道水を飲むとカルキともまた違う、なんだかやけに生臭い臭いなどがし始めた。


 心当たりと言えば最近友人達と遊びに行ったときに、スマホで撮影をしながら観光をしていたのだが、某自死を選ぶ人が多いので有名な岬を悪ふざけに撮影したそうだ。


 その写真を皆のスマホにシェアしたのだが、特段おかしなところは無かった。みんなして『こんなもんだよなあ』などと強がってから帰途についた。


 しかし数日後、その中の一人から連絡が届いた。なんだか酷く焦った様子で『写真! 写真に誰も写ってなかったよな?』と取り乱しているのか妙なメッセージが届いたので、『写真ってどの写真だよ?』と電話をして尋ねると、この前あの崖を撮った写真だよと言ってきた。


 もちろんあの場に誰もいなかったし、誰かいたならその人がいなくなるまで待っただろう。だが、彼はその時皆に共有した写真に人が写っていたというのだ。それも崖の方へ向かって歩いていく白髪頭の老人が写っているという。


 いったん電話をスピーカーモードにして、アルバムの中を見たのだが、あの時撮った写真にはただ夕日の沈んでいく水平線が写っているだけだった。


 そう伝えたのだが、酷く狼狽えながら『俺のには人が写ってんだよ!』と叫び、そこでプチッと言う音と共に通話が切れてしまった。


 アイツは疲れているのだろうかと思いながらその日はそのままにしておいた。だが、それからその友人に連絡が取れなくなった。


 ただ、死んだとかそういったことではない、いや、もしかするとそれより悪いことになっているのかもしれないが、彼が実家に帰ったというので、あの時の面子を集めてお見舞いに行った。


 多分何かあったのだろうとは皆予想していたので差し入れも持って彼の家に行ったのだが、インターフォンを鳴らすと彼の母親であろう人が出てきて『今は家に他に人はおりません』ときっぱり言われた。


 ならばその、実家に戻ったというのが嘘だろうと思うのが自然だが、家族からそう聞いて家を離れようとしたときだ。野太い男の声が咆哮のように家の奥の方から聞こえた。しかし『誰もいませんから』ときっぱり言われてしまったので詮索も出来ず帰ることになった。


 誰もが、あの叫び声はアイツのものだったよなと思っていたが口にしたのは次に集まったときだ。


 最後に、私はどうすればいいんでしょう? アイツみたいな目に遭うんでしょうか?


 そう書かれていたので、『写真を消されてはいかがでしょう』と返したのだが、彼は『削除をしてもスマホのストレージから消えてくれないんですよ!』と返事が来た。彼からの連絡はこれ以後ないが、出来ることなら無事でいてほしいとそう思わずにはいられない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ