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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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地蔵の頭を蹴ったヤツ

 その日、朝の目覚めはスマホへのメッセージ着信音で起こされることになった。朝っぱらから送信してきた暇人は誰だと思っていたら、SMSで長文を送られてきた。何通も続きが送られてくるので送信料が心配になったほどだ。メッセンジャーを使えばいいのにと思いつつ読ませてもらった。


 なんでも地元でヤンチャをしている友人と遊んでいたときのことらしい。


 悪友と遊んでいたのだが、夜に遊び歩いていたものの、深夜に遊ぶ場所はそこまで多くないところに住んでいる。大体の店は零時を過ぎれば閉まってしまう。そうなるといくら悪友とは言え遊びようが無いのでみんなで車に乗って帰ることになった。


 そうして車でしばらく走って帰ると、車の持ち主の家に止めて皆で飲もうとなった。そんなわけで、都合良く近所にあるコンビニに酒を買いに行った。ただ、コンビニまでは幾らかの距離があったのでくだらないことを駄弁りながら歩いていた。そんな時、道ばたに地蔵があるのを見つけた。


「こんなとこに地蔵ってあったか?」


 誰かがそんなことを言ったのだが、誰も信心深いメンバーがいないので地蔵の位置など一々覚えていない。


 皆してその地蔵を見ると、一人が声を上げた。『手の中!』と言うので、地蔵が体の前で広げている手のひらを見ると、そこには小さな地蔵の首があった。その地蔵にはしっかりと首が付いているので何故そんなデザインになっているか分からない。


 誰かがその首をつついてみたのだが、ピクリとも動かない。どうやら一体として地蔵が作られているようだ。地蔵の手のひらに小さな地蔵の首を置く理由は分からないが、なんだかいやな感じのするモノだった。


「こんなモノほっとこうぜ」


 そう言ってみんなをそこから離そうとした。だが、一人が地蔵の手を足蹴にして、その拍子に一体として掘られていたのであろう手のひらの首がポキンと音を立てて飛んでいった。


「お……おい!」


「大丈夫だよ、こんなもんが祟るわきゃないだろ」


 その友人はそう言ったのだが、祟らないにしても地蔵を壊してしまったのは確かなので『見つかると面倒だからさっさと酒を買いにいこうぜ』と言ってみんなでその場を離れた。あの地蔵がなんだったのか、あんな不気味な物が会ったのかと思っていたのだが、その場を離れ、コンビニに行き酒を買うと皆で酒盛りをしに帰っていった。


 その途中、地蔵があったはずのところに何も無く、ただの小さな空きスペースがあったのに気が付いたが、他の連中にいやな思いをさせることもないとソレを無視した。


 そうしてその晩は酒盛りをして全員潰れた。翌日、頭が痛いといいながら皆で二日酔いになった。水を飲みながら落ち着きを取り戻していったのだが、一人がなんだか挙動不審だった。それはあの時地蔵を蹴ったヤツだったのだがなんだか震えている。


「どうしたんだよ?」


 そう訊ねると、『いや、夢でさ、よってフラフラになった俺をスキンヘッドの男が蹴飛ばしてくるんだよ。やたら痛くて力が強くてさ……その……信じて貰えないかもしれないけど地蔵に色が付いたような人間なんだよ。それが俺を蹴ってくるんだ』と言う。


 全員が無言になって、どうしたものかと考えていたが、地蔵の祟りなんてあるはず無いだろと皆で言い合って彼の言うことを取り合わなかった。


 別に誰かが死んだとか、そう言った物騒なことは無い。ただ、あの時地蔵を蹴ったアイツはまだ年というわけでもないのになんだか頭髪が薄くなっていっている。それと共に、アイツは道ばたに地蔵を見るとそれを拝むようになってしまった。


 話としては以上になる。彼を何とかしてやることは出来ないかと書かれていたので、正直私も困ったのだが、最近は薄毛の治療をしている病院もありますよと、多分何の解決にもならないで有ろう事を返しておいた。


 納得していただけたかは分からないが、メッセージの送信者には何も無いのでそこまで深刻そうでもないし、それでいいやということにしてしまった。

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