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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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心当たりのあるスッキリしない話

 その日、メールをチェックすると、珍しく短文の怪談が届いていたのだが、話があまりに簡潔だったため、子細を教えてもらうように返信をした。あまり詳細は分からないのだが以下のようになる。


 ソレに初めて会ったのは墓地の跡地に出来たという公園でのことだ。その日はうんざりしていたこともあり、その公園で缶チューハイを飲みながら公園で世の中の辛さも知らないであろう幸せな子ども達を眺めていた。


 そのときは酔っていたせいか違和感を覚えなかったのだが、帰宅して一晩寝て起きたときに、缶チューハイの空き缶を捨てているときに気が付いた。そう言えばあの公園に着物の女性がいた。ソレも色とりどりの振り袖だった。


 あの日は何でもない日だし、そんな格好をしている理由が見当たらない。子どもから泥の一つでも飛び散ってくれば大きな問題になりそうな姿だった。


 酔っていたせいだとそのときは思い込むようにして、忘れるように出社した。その日もしんどい一日を送って帰宅途中、居酒屋で一杯飲んでいこうと、一人でも入りやすいところで軽く一杯飲んだ。熱燗を飲んでいたのだが、そのとき視界の端にこの前見た色とりどりの格好をした女が見えた。


 居酒屋に振り袖で来たのか? 混乱しつつその一杯を飲んで帰ろうとした。そのとき先にその女は支払いもせずに出て行ったので、ああ、やっぱり俺にしか見えていないんだと気が付いてしまった。


 それから時々色とりどりの着物を着た女が目に入るようになった。寝ぼけているときに部屋の隅の方に立っていたときは肝を潰した。それでも目がはっきり覚めるとそこにはなにも無い。


 この世の者ではないと分かっているのだが、時折目に入ってはそのビビッドな服から嫌でも気が付いてしまう。なんとかあの女から逃げたくて、神仏にも頼ったのだがさっぱり効き目がでない。あの女は一体なにをしたいのか、未だに俺に恨みがあるのかと思うとイライラする。


 おおよそそんな内容が帰ってきた。私は最後の一文が気にかかって『その方はあなたと無関係な方なんですか?』と返信してしまった。


 私が尋ねたことにはすぐ堪えていてくれた彼からのメールはパタッと止んで、しばらく届かなかったので、何か心当たりがあったのだろうと思い、これは彼の問題だなと、返事が返ってくるまで何かを送ることはなかった。


 ただ、数週間してのことだ。


「あの女の件、解決しましたよ。あの女の対策を考えていたから埒が開かなかったんだ、母親が俺に何かしてやがった」


 そう返信が届いた。多分彼も何か恨みを買うことをしていたんだろうなと重いながら、出来ることならこの一件で更生して欲しいと願って話を終えた。

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