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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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経済成長期の遺物にて

 その日、朝起きたときにはもう午前と呼んでいいか微妙な時間だったので、休みだからと疲れがたまっていたかとため息を吐きながらPCの前に座った。


 届いているのはチャットツールへのダイレクトメッセージ。複数の通知があったので確認すると、一人長文になっているものがあった。始めに大きいメッセージから読もうかと思い、ソレを開いた。


 その内容によるとおおよそ関わりたくないものだった。


 その日、夏で暑かったのもあり、肝試しに行こうとした。夜は涼しい地方なので変な言い方だが気分良く近くにある廃墟に行った。


 そこはただの廃墟で、昔に作られたハコ物だったのだが、不景気になると閉鎖されてしまったところだ。別に事故があったとか病人が出たと言うわけでもない、単に不況になってしまったから閉鎖されただけだった。


 ただ、何しろハコ物を立てるような税金の使われ方をしていたところへ突然の不況だ、人が腹を立て、その建物を恨むようになった。それから酷い噂が立つようになる。


 不況の波と共に、税金の使い道への恨み節も兼ねて好き勝手な噂は流れていき、半ば都市伝説のようになっていた。


 そんなところへ入っていくので多少緊張したのだが、正面玄関のガラスは割れたまま放置されていて、入ろうと思えば誰でも入れる状態だった。こんな状態でも壊すのにはお金がかかると言うことで放置されていた。


 そこに暗い中はいっていったが、スマホに頼って懐中電灯を持ってきてはいなかった。暗い中だが、一階を少し見て回ったら帰ろうと思っていたので、スマホのバッテリーが充電されているのを確認したらライトをつけた。


 それから中を見ていったが、どの部屋も資産になるようなものは回収済みなのだろう、大したものは無かった。もちろん幽霊もなにも出てこなかったし、廃墟なんてこんなものかと帰宅した。


 ソレから数日、寝込むことになった。熱が出て、夢の中でうなされていると何やら背広を着た爺さんが現れた。その爺さんはナニカに怒っているような顔をしているのだが、その顔に心当たりがない。


 毎晩その爺さんが杖で自分を叩いてきて、その痛みで目が覚めていた。


 熱は数日で引いたのだが、ソレからも時々爺さんが夢に出てくるようになってしまった。どうしてあの爺さんは敵意を向けてくるのかと思っていたが、後日、図書館に行ったときに見覚えのある爺さんの像があった。その像は、景気が良かったときの町長で、いろいろなインフラを作ってあの建物もその人が建てたと知った。


 ただ、もう現職の時には高齢だったので亡くなっている、何とか爺さんを祓う方法は無いか。


 おおよそそのような内容が書いてあった。私は少し考えてから、その方のお墓を参って謝罪されてはどうでしょうと返信しておいた。正直正しい対処方法は分からないが、その場で答えられるのはその程度だった。


 後日、その方は私にダイレクトメッセージでお礼を述べてくれた。その方は墓参りをした夜に、ソレまでとうって変わった笑顔の爺さんが出てきて頭を下げて去って行ったと書いてあった。


 どうやら人のプライドというのは生きている人だけが持っているのではないのだなと理解させれたのだった。

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