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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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見えなくなったおじいさん

 その日は呑気に紅茶を飲んでいた。書いていたソースコードが一段落付いたので安心してホッと一息休息を取っていた。


 そんな時、メールが届いた。ああ、メーラーを閉じておけば良かったと思ったのが運の尽きだ。気が付いてしまったものは確かめなければならない。


 そのメールを開くと、送信したのは子どもだろうか? IMEのおかげで漢字にはなっているのだが、所々に日本語が怪しかったりする。まあ子どもでもスマホは使えるのだからおかしくは無いだろう。


 内容はおおよそ要約すると自宅に奇妙なものがいるそうだ。


 幼稚園に入るとき、子どもの育つ環境を考えて親が引っ越した、ただ、そこで永住するつもりでもなく、借家に住みながら勉強をするよう口うるさく言われていた。


 まだ幼稚園には行ったばかりの頃、家の園側に座っているおじいさんがいた。母親が勉強しろと言ってきたときに『あのおじいちゃんは誰?』と言ったが、子どもが話を逸らそうとしていると思われたようで、『良いから勉強しなさい』と言われ机の前に座らされた。


 それからも時々晴れている日はおじいさんが園側に座って日の光を浴びているのを見ていた。穏やかな顔をしていて、こちらが音を立てると顔を向けて微笑むので怖くはなかった。


 ただ、家族の誰もそのおじいさんを知らないようで、夜に寝るときも園側の窓を閉めるときおじいさんはいなかったし、その人が縁側から離れるところを見たことはなかった。


 ただ、小学校に入ってから定期検診があるのだが、毎回発育が悪いと言われ、きちんと三食食べていますか? と聞かれた。


 もちろん毎日三食食べているし、なんならカロリーを取りすぎではないかというくらい食べていた。だと言うのに普通より体重も身長も低かった。


 何が原因だかはさっぱり分からないものの、なかなか身体が成長するのは遅かった。


 あるときのことだ、家に訪れた親戚がお菓子を持ってきた。缶入りのクッキーだったので、それを喜んでもらうと食べすぎないように、と言う声も無視して縁側ごしにに話を見ながらクッキーを食べていた。


 そうしているあいだ、大人が退屈な話をしていたせいか、眠気が来た。そこでウトウトしていると、カタンカタンと音が聞こえてきた。思わず目を開くと、あのおじいさんがクッキー缶の中身を乱暴に包装を破いては食べていた。


 思わず声を上げると親が来たのだが、そのときにおじいさんは開いていた縁側に向けて走り出すと、庭に向けて飛び出すところで消えてしまった。


 クッキーを乱暴に食い散らかしていたのを随分と怒られたが、あのおじいさんが逃げていったときにその場にいた人に見えていないようだったので、どうやらアレは自分にしか見えていないようだと理解した。


 それから普通に食べるようになって人並みの体重と身長の伸び方になった。ただ、それからあのおじいさんが縁側にいるのは見なくなってしまった。


 おおよその内容はこうだった。最後に『なにかしたほうがいいんでしょうか?』と書かれていたが、『もう見えなくなったなら問題無いでしょう』としか返信することは出来なかった。


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