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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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彼は何人いるのだろう?

 ある日の夜のこと、サブのスマホにメッセージが届いた。なんでも霊体験を話したいのだそうだ。どこまで本当かは分からないのだが、なんだかそのメッセージに焦りのようなモノを感じたので聞きますよと返した。


 始まりは高校生だった頃です。受験が近くなってくると皆ピリピリした空気を出しています。アレは体験しないと怖さが分からないでしょう、正直幽霊よりあの空気の方が苦手だったかもしれない。


 そんな空気の中で過ごしていたのだが、クラスの中に優秀だった生徒が居た。定期試験でも良い点を取り、模試では結構な大学にA判定が出ていた。そんな彼だったのだが、おそらく無理をしていたのだろう、体調を崩して一週間ほど体調不良で休んでいた。


 それからの彼は人が変わったように攻撃的になった。高校生にとって体調不良が一週間続くのは辛い。結構な差がクラスメイトにつけられてしまう。なんでもそこそこ体調が悪かったらしく、食事の時くらいしか体を起こせないような状態が数日あったと聞いた。


 ソイツはすっかり学歴を気にするようなったのだが、その気持ちとは反面に、今までA判定が出ていた模試でもBに落ちたりもしていた。だがアイツは志望校は絶対にレベルを落とさないと公言していた。


 一週間という重みは随分とプレッシャーを感じていたようで、彼の成績は落ちたが、誰もその事に言及しなかった。何しろテストや模試のたびに結果が出ると怒りにまかせたような表情をしているのが見て取れたので、刺激しないようにしようという空気が出来ていた。


 結局、彼は毎日深夜まで勉強をしていたらしいが、その時に彼に連絡を付けるため、メッセージを送るのだが、一回も返ってこない。


 皆そこまで行くと心配になっていたのだが、その気持ちも彼を心配してメッセージを送ったヤツに、投稿して会ったときに『くだらない話を送るな』と切れ気味に言ってきたので、それから彼の元からクラスメイトは離れていった。


 友人だったヤツもいたが、心配をしても余計なお世話だと言いそうなアイツに関わりたくはない。


 そうしてアイツはクラスで孤立することになる。


 それからしばらくしてのことだ。アイツは急に高校をやめた。なんでも本人はここの学校で勉強するより高認を取って大学に行った方が効率がいいなどと言っていたらしい。もう孤立しきっていたアイツを引き留めるヤツはいなかった。


 そうしてアイツは高校をやめた。それから高認は取れたのだろう、クラスで揃って当時はセンター試験と呼ばれていた試験の会場でアイツを見たと言う声があった。


 試験が終わってから、アイツは本当に受かるのだろうか? なんてことがクラスのチャットで話題になった。本人はもうチャットから出て行っていたので好きなことを言っていた。


 しかし、センター試験会場での話になったのだが、俺も見たと言うヤツが出た。ところがおかしい、その時見たと言っていたヤツは自宅から一番近い会場で試験を受けていた。だからクラスの大勢が試験を受けていたところでアイツを見たのだから、そんな所にアイツがいるはずはない。


 しかし、クラスの数人は違う会場で試験を受けていたが、全員がアイツを見たと言うのだ。


 何が起きているかは分からない、ただ、その話題は自然と皆口にしなくなった。


 それだけのことなのだが、何が怖いかと言えば大学に在学しているとき、アイツを観たことがあった。痩せこけて、健康的とは言えない見た目だったが、その時は逃げた。こっそり見えないようなルートを選んでアイツとで会わないように注意をしながら学生生活を送った。


 俺、呪われてるんでしょうか? アイツを見たときの血走った目が忘れられないんですよ。なんで何もしてない俺がアイツに出会わなきゃならなかったんでしょうか? アイツには誓って何もしていないんですよ?


 私はそれを読んでしばらく考えてから、『大学はもう卒業したんだから問題無いのでは?』と送信したのだが、彼が何を考えていたのかは分からない。ただ、その後、彼の在籍していた大学のことを聞くと、センター試験利用の枠は無かったのだそうだ。


 アイツが鬼の形相でセンター試験を受けていたのに、それに意味の無い大学に入ったというのは、なんだか不気味に思えて仕方のないことだったそうだ。

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