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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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通話アプリに流れた怒鳴り声

 その日、休日だったので寝過ごしたのだが、昼近くになって目を覚ました時、サブのスマホに通話がかかってきた。サブのスマホで鳴っていたので、念のためカメラを指で隠しつつ通話アプリを開いた。


 するとなんだか妙に焦った声で延々と自分の状態を並べ立てられた。おおよその内容は……


 友達が玄関前にいる! 何とかする方法を教えろ! なんだよアイツは、俺が何をしたっていうんだよ。


 焦っているようなのでひとまず落ち着いてもらってから話を聞けるようになだめた。


 ああ……俺の友達がさ、こんな時間に玄関前に立ってるんだよ。アイツさ、彼女と別れてから引きこもってるからこんな時間に居るはずがないんだよ、引きこもりのくせに真っ昼間から俺の家に来るとか怖いんだよ。


 そりゃ彼女にて酷く降られて落ち込むのは分かるよ、こっちに来られても困るんだ。どうしてアイツがいるんだよ、友達全員揃えてたんだ、アイツが知るはずが無いんだよ! どうして俺の前に来たんだよ!?


 なんだか話が妙なので事情をもう少し探ってみた。


 ああ? なんでソイツを怖がってるかって? 別に怖くねーよ、でもアイツだって俺にあたるこたあないだろう! そりゃアイツの彼女は今、俺の彼女になってるよ、でもさあ、アイツだって納得したんだよ、それを勝手に落ち込みやがって、俺が知った事じゃないんだよ。


 友達のところを巡回してるって聞いてバカな話だって思ってたのにさ、マジでアイツ関係者のところを回ってんだよ、こんなことしてる暇があったら新しい彼女でも見つけりゃいいだろ。


 そりゃあ確かに友達と揃ってアイツの噂を流したよ! だからってここまでされなきゃいけないのかよ! ちょっと悪評を流しただけだろ、彼女が離れたのはアイツがそんな噂に流されるような彼女を選んだからだろ、俺のせいじゃねえよ!


 ああ、玄関のチャイムがうるさい、聞こえづらいんだよ、何とかああいうのを腹ウホウホを教えてくれよ! ああ、アイツがうるさい、玄関前で騒ぎやがって! 俺が何をしたっていうんだよ、アイツが勝手に俺に負けただけだろ、俺の何が悪いって言うんだよ!


 クソ! 玄関前で叫びやがって、俺の悪評を近所に流す気かよ、最悪なヤツだな!


 ああもう、ドアノブをガチャガチャするんじゃねえよ! クソ! 何で俺が恨まれなきゃならねーんだよ! 知るかよ、アイツが悪いだけのことなのに何で俺がこんな目に遭うんだよ。


 ドアの鍵が壊れるだろうが! 加減しろよ! 俺が出迎えなきゃ満足しないのか? ああもう、クソ、ちょっとアイツにガツンと言ってくるからこのまま待っててくれ!


 その後無音がしばらく続いて通話は切れた。彼の言っていることが全て事実だとして、幽霊の話にはならないのかもしれない。ただ、私が彼の一方的な言い分を聞いている間、彼はしきりに友人の立てる物音に腹を立てていたのだが、アプリがノイズを勝手に除去したのだろうか? 私のスマホにはまったく彼の言っているような音が聞こえてこなかった。


 果たして彼のところで本当に音が立っていたのだろうか? 連絡先も何も匿名アプリで通話をかけてきたので、もう連絡の取りようがない。ただ、音がしていなかったとしたら、彼の罪悪感がそうさせたのだろう。徒党を組んで痴情のもつれに絡むと、ロクな事にならないんだなと思わされた通話だった。

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