不機嫌な娘についての話
その日は休日で、今日はメール対応もしなくていいかなと思い、PCをシャットダウンしようとした時にちょうどメールが入ってきた。
急ぎのないようではないと書かれていたので週末を使って添付されていたドキュメントを読んでみた。出来ればプレーンテキストで送って貰えないものかと思いながら読んだ内容をまとめておこう。
最初は今では成人した子供が生まれた頃から始まる。子供が生まれて両親そろってハイになっていた。健康なお子さんですと医師に言われて妻と一緒に大喜びしていた。
病院にいた時は可愛い我が子でしかなかったので訪れる親戚や友人などと共に喜ぶばかりで、みんな祝福をしてくれた。
そうして一通りみんなに喜ばれながら退院をした。そこまでは良かったのだが、娘の定期検診の時だ、その前日、夜に鳴き声で目を覚まし、ミルクやオムツなどを確認しても何も異常は無い。ただ理由も分からず泣き止まない日があった。
その翌日の検診では何の異常も無かったので、妻と一緒に『病院に連れて行かれるのが分かるんじゃないか』などと言って笑った。
ただ、毎回病院に行く前の日に泣き出すのには二人で悩んだ。どうしてだろうと思いながら、病院に行く時に泣くということになんとなく不気味さを感じはじめていた。
それから娘も成長したのだが、お盆休みにお墓参りをしようということになり、娘も連れて行くと決めたのだが、お盆休みの途中、墓参りの前日に娘は酷くグズった。
虫の居所が悪いのか、なかなか泣き止んでくれない。ようやく夜中に寝てくれたのでその日は寝て、翌日車に娘も乗せて墓参りをした。幸いその時は泣かなかったので気分的なものかと思っていた。
ところが、どうにも娘は時折泣き出すことがある。一時は高齢者の介護施設にいる親戚のところを訪れる時に前日大泣きをした。そういったことは偶然で済んだのかもしれない。ただ、何度も泣き出す娘を見ていると、どうやら泣き出す時には翌日に、死者が関係しているところへ行く予定の時、前日に泣き出すようだと分かった。
それからは娘をお盆や彼岸の墓参りにも連れて行かず、病院も必要無ければ連れて行かないようにした。それでも健康診断の時にグズり出すのには困ったが、娘も泣き出すことが減り、育てやすい普通の娘くらいになった。
それからは物わかりの良い娘になったのだが、一度だけどうしようもなく怖かったことがある。実家に帰省しようとした時に娘の機嫌が悪くなったのだ。もう言葉をある程度話せるようになったのに赤ん坊のように泣き出す、困り果ててじゃあ家にいるかというと娘は途端に泣き止んだ。
まだ一人で留守番させるには不安な年だったが、鍵を開けられないようにしっかり施錠して実家に行って急いで帰ってきた。その日の晩、父親が卒中を起こした。幸い早期発見されたので手足の先の方が少ししびれるだけですんだ。
一応それだけだったのだが、その事でどうにも不安になったことが一つできた。もしかすると娘が死者に反応しているのかと思っていたのが、娘を連れて行くと死者が出るようなことになるのではないかと疑惑が出るようになった。
可愛い娘ではあるのだが、現在高齢の親族の家には連れて行かないようにしている。
そう書かれていた。そういう体質の人は居るんでしょうか? そう最後に書かれていたので、しばし悩んでから『そういう体質の人は居ます』と返信した。
正直にそのまま書いたのが正解だったかどうかは分からない。ただ、それ以後続きのメールは来ていないので問題無い生活を送れているのだと信じたい。




