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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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生きているグッズ

 私はその晩寝ていたのだが、寝ているときにメッセージの着信音で目が覚めた。夜に消音モードにしていなかったのに後悔しつつスマホをたぐり寄せた。


 そこに来ていたのは多分寝起きで焦っていたのだろう、乱れた文章が届いている。どうせ夢の中で恐ろしい体験をして寝起きで送ってきたのだろうと思いながら、その誤字脱字の多い文章を解読した。


 なんでも、このメールを送ってきた人は、寝ようとしたときに元カレの幽霊を見たので焦ってどうしようか考えた末、こちらに対処法を聞こうと思ったそうだ。


 事情はさておき対処法を聞かれたので、眠かったのもあり、送信者は成人しているというので清酒を買ってきてコップか何かに入れて部屋に置いて、部屋の四隅にキッチンから塩を持ってきて盛って置いてはどうでしょうと答えておいた。


 とりあえず対処は送信したので事情の方を読んでみた。焦っている文章の割には随分と長文を送ってきたなと思って読んでいると、よくある痴情のもつれからの出来事らしい。


 彼氏に新しい彼女が出来たからと捨てられた、それを延々と恨み節も交えて書かれていたのだが、気になる文もあった。なんでも、元カレにで来た新しい女というのが所謂スピリチュアルにのめり込んでいる事で社内で有名だったらしい。


 自分のデスクに代わった色の花を生けて、方角を気にしながら水や何かの石を置いたりと、はっきりと言えば奇行が多かったのだが、彼女が大きなミスをしたり人につらく当たったりしないので、皆は変わり者ということで片付けていた。人に押しつけないなら自由にさせようという空気になっていたそうだ。


 ただ、問題は彼氏を奪った理由だ。別れるときに彼女もその場にいたのだが、『彼が運命の人だから』と言って憚らなかった。


 よくある、好きな人に『運命の人』というのではなく、どうも彼女の場合はそのスピリチュアルな何かに文字通りの運命の人だと思っていたように見えた。


 つまり元カレでさえ好きだからどうこうではなく、幸運のお守りのように考えていたように見えた。


 上司は部署の異動やあのスピ女への処分も提案してきたが、同じ会社にあの女がいると気が気ではないので退職をした。とにかく一刻も早くあの職場から離れたかったし、有休は全部撮っていいし引き継ぎも無しで良いから次を探しなさいといった上司の言葉に甘えて新しい職場をどうにか見つけた。


 それから元カレとは出会っていないそうなのだが、たった今寝ようとしたときに寝室に元カレがいた。ただ、元の面影は全く無く、痩せこけて何か嫌な臭いを出していた。嫌な臭いと言っても、人間の身体から出るようなものではなく、お香をいくつも混ぜ合わせて出てくるような臭いだった。慌ててドアを閉めて深呼吸をしてドアを再び開けると、そこには誰もいなかった。


 別に元カレに未練があるわけではないが、何度もでてこられても困るし、精々オカルト趣味の女と幸せになってくれればいいと思っている。なんならスピリチュアルグッズ扱いされているならいい気味だとも思う。


 ただ、心配なのは元の職場だそうだ。あの女はやりすぎたのではないかと思っているが、今更あそこを調べようとも思わなかった。

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