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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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29/80

彼に話して良かった内容

 私は休日ということもあり、スマホをサイレントモードにしておいてじっくり本を読んでいた。四六時中、怪異を持ち込まれても困るので久しぶりのオフとして呑気にラノベを読んでいた。


 ラノベの多くに幽霊は出てこないので安心して読める。ゴーストの類いが出てくるラノベでも、それは物理的に戦える相手だったり、魔法が聞いたりと対処法のハッキリしている物が多いので安心だ。


 そんな風にラノベをのんびり読んでいたのだが、突然スマホの通知音がした。その時は嫌な顔をしていたとは思うのだが、登録している連絡先も少なければ、連絡はメインのスマホに飛んでくるのでサブ回線はサイレントにしていなかった。


 油断していたなとうんざりしつつ、サブ機を手に取って通知を確認した。ロクに使っていなかったメールアドレス宛に一通届いていたのだが、普段から使っていないアドレスをよく見つけたなと思いながらそれを開いた。


 そこの内容としては平たく言えば霊能者を紹介してくれと言うモノだった。そんな都合の良い知り合いを簡単に紹介しろという不躾なメールにイラッとしながらもその内容を読んだ。


 焦りながら書いているのか妙に誤字が多い。客先に送るメールではないのだから多少の誤字は構わないのだが、書いた本人がよほど焦っているのかてにをはもおかしいようなメールになっている。始めは未就学児が書いたのかと思ったほどだが、一応常用漢字は使われているのでそこまで酷いわけではないが、未就学児からのメールだったらその基準で読むので、まともな大人がお願いとしてこの文章かと思うと気分が落ちた。


 始めはこれを書いた彼……彼女かもしれない、文章が破綻しかけているので性別も分からない……はどうやら家族の中で父親に病気が発見されたのだそうだ。その病気は致命的な物ではないのだが、それが余計に質が悪かった。


 致命的ではないが、頻繁に病院に通う必要のある病気なので毎回家族が付き添ったのだそうだ。ただ、父親は次第に意識が混濁していくようで、時折付き添っている家族を全く別の名前で呼んだりし始めた。認知症の心配は無いですねと言われていたので、この妙な症状の原因が分からず余計と困った。


 ただ、その時に呼ぶ家族の名前なのだが、なんだか妙に古くさい、今時の名前とは思えない名前を毎回違うのだが呼ぶ。その名前を親族に当たったが、だれもその名前に心当たりは無いと言った。


 もう誰だか分からない名前を呼ぶので気が滅入っていたところで、夜にストレスからか目が覚めてしまった。なんだろうなと思いながらトイレに向かうとその途中にある父親の部屋、そこで声がしていた。気づかれないようにドア越しに声を聞いていると、やはり古風な名前を次から次へと言っているのだが、名前の度に後から謝罪の言葉が出てきている。


 済まないとかごめんなさいとか、許してくれとか、とにかくそのわけの分からない人に謝っていた。その原因は結局不明だったのだが、何をしたのだろうかと思っていた。


 そんな具合だったので父親は社会人を続けられず、休職も限度があったので退職することになった。その時に結構な金額の退職金が出たのだが、そこまで仕事人間でも亡かった父親にそこまで出るのだろうかという金額だった。


 それから父親の仕事で何かあったのでは無いかと調べていくと、どうやら昔墓地だった土地を会社が買収する時に、その担当をさせられたらしい。その時に多少の無茶をしてまで地権者から買収をしたそうだ。


 どうしたものかと家族で悩んでいるので霊能者で除霊が出来る者を紹介してくれと最後に書かれていた。


 私は退職金が多くでたと書かれていたことから、多少高くつくが、金額次第では筋の通らない依頼でも受けてくれる人が一人居たので連絡してみた。かなりの報酬がもらえそうだと伝えたのだが……


「俺に連絡してよかったですね、この話、俺以外に絶対しない方が良いですよ。俺は黙っておきますが、コレ、聞く人が聞いたら絶縁されそうなヤツなので気をつけてくださいね」


 それだけ言われて通話は切られた。彼でもお手上げ……と言うより関わりたくないという感情が伝わってきたので、メールには力およばず申し訳ないとだけ返信しておいた。もうその家族がどうなったかは知ったことではないと思うことにした。

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