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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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彼に本当に必要なもの

 ある日、サブ回線に通話がかかってきた。番号は公開していなかったはずだがと訝しみつつ、その通話に出ると、男性の方がいきなりお祓いをしてくれる神社を教えてくれと言ってきた。


 内心、そんなのは専門外だと思いつつ、スマホを持ったままPCの前に座って、動揺している相手を落ち着けてから何処に紹介するか決めることにした。まだこの時点では病院のお世話になった方が良い相手だという可能性も排除していなかった。


 始めの頃はとにかく寺か神社を紹介しろの一点張りだったのだが、経緯を教えて欲しいと何回も言うと、ようやく落ち着いてくれたようだ。そうして何があったのか訊ねた。


 なんでも、通話相手の彼は少し前に彼女を手酷く振ったそうだ。理由はもっと顔がいい女が出来たと、正直にそのまま伝えると泣きながら逃げていったと言った。


 せめて濁すことくらいした方がいいと思ったし、バカ正直にそんな酷い理由を伝えるなよと思いつつ話を聞いていった。


 ソレから程なく、会社から振った女が退職したことが伝えられた。自分のことを何か言ったんじゃ無いかと気が気ではなかったが、理由は親の介護だと言っていたらしい。上司はそれを、辞めるためのいいわけだと言って、会社に逆らったと酷く腹を立てていた。


 辞めるの位自由だろうとは思ったのだが、退職代行なんて商売が成立するこのご時世に、その商売が出来た理由を見た気もした。


 とにかく上司は彼女を酷く言ってから、このような退職をしないよう従業員に強く言っていた。酷い会社ではあったが、他に行き場もないので諦めてそのまま働いていた。


 ところが、別れた彼女とは部署も違うと言うのに、それから上司達が自分に辛く当たってくるようになった。理不尽な理由でも平気で怒鳴りつけてくるようになったので、彼女が辞めた本当の理由はこれじゃないかと思ったほどだ。


 しばらくの間はそれにも耐えられたのだが、新しい彼女の方がそれに耐えられなかった。ロクに会えもしないので新しい男を作ってスマホへの連絡一つで縁を切られてしまった。


 上司からは辛く当たられるままで、ついに耐えられなくなって辞めてしまった。退職届を出した時には酷く詰められたが、何が何でも辞めると意志を固めると無理矢理退職届を通した。有休も残っていたが、一刻も早くここと縁を切りたかったので諦めて即座にやめることを選んだ。


 それから再就職を目指したのだが、面接までたどり着いたと思った企業に、怪文書が届くようになった。それは過去の女性遍歴をまとめたもので、確かに嫌がらせとしか思えなかったが、事実では会ったので否定出来ず、面接に通ることが出来なくなってしまった。


 以上が彼の身に起きたことだそうだが、私は彼に『捨てた恋人がやったという可能性は?』と訊ねると『中学校時代の女事情なんてアイツが知るわけないだろう!』と言われてしまった。


 私はいい加減うんざりして、その辺で一番近い護摩行をやっているところを紹介しておいた。できることなら、彼が何かこの世のものではないかもしれないものに嫌がらせをされない程度に改心してくれることを祈るばかりだ。

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