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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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とある男の変化

 昔からオカルトには興味があったが、一番その風向きが変わったのはネットが登場してからだろう。スマホも無いのにPCでネットに接続して大笑いしていた。そんな時代のこと。


 当時はボイスチャットなど使い物にならないので、今のように豪華でCPUを大量に食い潰すような通信方法などなかった。


 ただ、精々が掲示板とカウンターがあるくらいで、ユーザが生成するコンテンツはほぼ無かった。


 そんな時代なので掲示板での話は大いに盛り上がった。オカルト系のサイトも巡っていたが、心霊スポットに忍び込んで荒い写真を撮ってくる人を大いにもてはやしたりもした。


 残念ながら私の家の近くに廃墟はなかったので、忍び込む場所がないような時代だった。つまらない町だなと思っていたが、今にして思えば平和だったのかなとも思う。


 そんな中、掲示板に心霊スポットに入ってきたやつの体験談が書かれていた。そのハンドルは掲示板の中でも特に荒っぽく、進入禁止と書かれていようが、有刺鉄線が貼られていようが、気にせず忍び込むようなヤツだった。


 そんな彼が上手にキーボードを打てないように誤字だらけの体験談を書き込み始めた。


 それによると、なんでも人口減少で廃寺になったところへ侵入をしたのだという。本人は『過疎化っていやだ』などとたどたどしく書いていたが、そのまま話は続いた。


 一人で侵入したと書いていたが、どうにも精神状態が恐慌を患っているようなのでどこまで本当なのかは分からない。ただ、そこに向かって石段を登っていた時にはもう、足下がなんだか粘つくようになっていたという。


 廃寺に着いたので、早速正面を開けて中の仏様を見てやろうと思ったのだが、少しボロい扉を力任せに開けた先は畳が広がっていた。


 そりゃそうだ、処分したのだろうと若干しらけつつ、そのまま入ると中には銅像の一つも無い。仏像だってタダじゃないかと納得して寺を後にしようとした時だ、ご~~~~ん、と大きな鐘の音が鳴った。


 思わず釣り鐘の方を見ると、風も吹いていないのにあの重い棒が、前後に動いて鐘つきをしていた。


 こんなのが異常な事態なのはよく分かる。だから早々に山の中の廃寺から逃げ出したのだそうだ。ただ、廃寺を出てからどんどん自分の体が上手いこと動かなくなってきたという。


 そこで一旦書き込みは途切れたので、彼の体調をみんな心配していたのだが、数分もすれば彼は再び書き込みだした。


 それはもう流ちょうに迷惑をかけて済まなかった。少し気が錯乱していたようだ、オカルトマニアとして珍しいものを見たので興奮していた。


 そんなことを言い出し、突然話が上手になってみんな一安心した。だが、掲示板の中の一人が、みんなで話していたログの流れた話題を書き込むとみんなそれに乗って話し合い始めたのだが、その書き込みからすっかり彼は黙るようになった。一人が『どう思う?』と訊ねたところ、『悪い、ど忘れしたんだ』と答えた。


 なんの根拠もない話なのだが、今までの彼とは別の何かなんじゃ無いかと思うほどだった。いや、その時の私は彼が廃寺で何かに乗り移られたのではないかと疑った。


 しかし掲示板に彼は現れなくなったため、真相などはもはや不明のままになっている。

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