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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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やさしいナニか?

 私はその日、サブのスマホを忘れ出かけていた。すっかり夜になり帰宅してからスマホを見ると、長文のメッセージが書かれていた。文章は残っていたものの、送信者はサービスを退会済み、私の元には本文のみが残った。


 なんでも彼女は田舎に移り住んでからおかしな事が多く起きているらしい。夫婦で越してきた新婚だというのに、帰宅した時に夫が帰っていないはずなのにお風呂場がやけに湿っぽかったり、朝一で起きて料理を作ろうとしたら油の引いたフライパンがコンロにあったりと、とにかく夫婦二人以外の誰かがいる用が気がするのだそうだ。


 さらに夫の方も、夜遅く、自分が寝ている時間に帰ってきてもリビングの明かりが点いていて、テーブルの上に温かな料理が置いてあったりしたらしい。その事は気配りだと思われていたが、実際はそんなことをしてはいないという。


 気味が悪いのは夫婦揃っている時には何の異常も無いことだ。二人でいるのを邪魔されたことはないのだが、少しでも一人になる時間があるとそれを狙ったように奇妙な出来事が起きる。


 そんな妙なことを我慢しながらの新婚生活となった。ただ、その何かは決して不利益となることはしないのだそうだ。暑い時に帰ってくる時、クーラーが付いていたり、冬の寒い日に温かい風呂が入っていたりするものの、冷たい時に冷たい水を出すようなことはしないのだという。


 そんな奇妙な何かとの生活だが、そのまま続けて良いものか悩んでいるのだそうだ。都合の良いことばかりが起きるのだが、どうにも生理的な気持ち悪さというのは拭えない。本来居ないはずの同居人がいるような気味の悪さは消えてくれない。


 今はまだいいとして、子供が出来たらこの奇妙な存在はもてなしてくれるのだろうか? そもそも子供に悪いことをされないのだろうか? そう考え始めると引っ越しも頭に浮かんでしまう。


 夫の方は気楽なもので、悪いことが起きていないんだから悪いものじゃないんだろうと言う。だが、どうにもこの何かには計画があるような気がしてならない。勘としか言いようのないものだが、してくれることはありがたいが、そこに善意のようなものは感じられない。


 そこでこの辺の情報について何か知らないか……と言うところでメッセージは切れていた。サービスを退会する理由も無いはずだが、そこで不自然に文章が切れている。おそらくこのメッセージの先にはその何かが起きている場所を書くつもりだったのではないかとおもうのだが、生憎ここでメッセージが切れているのでこれ以上の情報は分からない。


 ただ、それからしばらくの間、ニュースを毎朝スマホで見ていたが人が死ぬような事件は起きていないようだ。出来ることならこのメッセージの送信者の杞憂であって欲しいと思う。

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