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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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樹海に入った時に居たモノ

 私はその日、朝食をとり、少しでも寝ようとでなければならない時間まで部屋のデスクに突っ伏していた。


 ソレから程なくわずかに眠れたかと思いながら時計を見ると、時間ギリギリだったのでスマホを持って慌てて家を出た。眠かったので、消音モードにしていたのをすっかり忘れていたことからの失態だった。


 しかし何とか間に合って、その日の予定が無事終わると帰宅した。まだ寝不足なのか、やたらと眠かったモノの、今度はきちんと起きられるようにスマホの消音モードを解除しようとした。


 そこに見たのは大量の通知だった。メールが何通も届いているようだ。それもアカウントが怪談を募集していた時のモノだ。悩みはしたものの、目を通しておこうと思い、スマホの小さな画面で情報をまとめた。


 送ってきたのは大学生のようで、どうやら心霊スポットに行ってからおかしな事があるのだと書いてある。


 行ったのは樹海と言えば何処のことかは分かるだろう。要するにそういう目的の人間が入っていくような所に、スマホがあれば迷わないだろうといい加減な気持ちで侵入した。


 一人は怖かったので、その時は彼女を連れて入ったそうだ。当然のように彼女は渋っていたようで、頼み込んでようやく付いてきてくれたらしい。


 そうして入りやすいポイントに車を停めて二人で木々の間に入っていった。夜を選んだのは何故だろうか? 自分でも分からないのだが、夜に入らなければならないような気がしていた。


 真っ暗な中に強力なライトで前方を照らしながら進んでいった。ただ、スマホのマップを見ながら進んでいっても特に何も無い。当たり前ではあるのだが、そうそう妖怪変化の類いに会うことも無いだろう。


 そこそこ歩いてから、何も無いのに拍子抜けして、スマホのマップを見ながら入ってきたところまで戻ってそのままになっている車に乗って帰っていった。


 夜明け頃に帰り着き、無駄な時間だったなと失望しつつ寝てしまった。何が幽霊だ、そんなことを思いながら寝た。


 翌朝、目が覚めた時にスマホを見ると、彼女からのメッセージが大量に届いていた。そこには写真が貼ってあり、それには見知らぬ女と車に乗っている写真があった。


 そこでようやく思いだした。樹海に入るまでは彼女と二人だったのを覚えているのだが、帰りには一人で車を運転しながら帰ってきた。つまり行きに吐いたはずの彼女がいなかったのだ。


 さらに、彼女から送られてきた画像には、間違いなく樹海までの途中が窓の外に移っている

。怖々と『昨日一緒にいたよな?』と返したのだが、『は?  何言ってんの?』と返されたので、どうやら彼女は先日来ていないらしい。


 ログを見ても、自分が彼女に樹海に着いてきてくれとお願いしたメッセージさえ残っていない。


 最後に、『彼女とよりを戻す方法を教えてください』と書いてあったのだが、幽霊ならともかく、生きている人との人間関係をどうしろというのか? まだ樹海に着いてきた謎の存在の方が対処出来そうな気がした。


 私は申し訳ない風に、それは私の手に余ることですと、やんわり断りのメッセージを返すことになったのだった。

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