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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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ドッペルゲンガーと武勇伝

 私はその日、一通りのことを住ませ、さあ寝ようかとしていた。そんな時につけっぱなしにしていたPCから通知音が鳴った。


 対応は出来る限り迅速にしたいと思っているので起き上がってPCのメッセンジャーを見た。そこには怪談があるんですがと言うメッセージが届いていた。聞いて欲しいのかなと思いながら、話を逃さないように『お聞かせしてくれますか?』と返した。


 すると少し間があってから『まとめたテキストをコピペするので待ってください』と返ってきた。私が少し待っていると、長文が細切れになりつつ送られてきた。


 その内容を要約すると自分がどうしてこんなにも理不尽な目に合わなければならないのかという無いようだった。


 就職してから、少しして入れ替わるように職場の上の方が退職をしてしまった。引き継ぎも何も無い退職だったし、退職の兆候も見なかったのに、突然のことに多少驚いた。


 それから少しして、同期達とランチに行ったのだが、その場で何故かもてはやされた。困惑していると『あのオバサン、鬱陶しかったもんねえ』などと言っている。どういうことかと聞くと、どうやらあの人は新人達をいびっていたらしい。まったく気づかない間にそんなことがあったのかと驚いた。


 話をさらに聞くと、その言い方は悪いがお局様は私にも嫌がらせをしていたらしい。しかしそんなことをされた身に覚えが無い。『覚えてないの?』と言われたのだがそんなことをした記憶は無い。


 なんでも皆の話によると、同期の一人が書類のコピーを失敗した時に、『そんなことも出来ないの?』と言ってきたその人に、自分が『新人で教えてももらってないのに分かるわけないでしょ』と反論したという。そんなことを言った記憶も無いし、その日は熱を出して休みをもらっていたはずだ。上長にきちんと伝えて休んでいたのに職場では自分がいたのだという。


 しょっちゅう新人をいびっていたその人は、まったく怯えない自分に苛立っていたという。全く記憶に無い武勇伝を語られ『この子達の中ではそうなってるんだ』と反論するのを諦め話を聞くのに徹していた。


 どうやら決め手になったのは『偉そうに言ってますけど、あなたもそんなに難しいことしてないですよね』と言ったことらしい。だがそんなことは言っていない。


 悩んだが同僚達には黙っておくことにした。その自分とやらがなんだったのかは分からない。ただ、共通の敵を排除したと言うだけで結構な称賛をされてしまった。


 その日のことだが、飲み会に行く時に家の鍵を会社に置き忘れていたのに気が付き、取りに行くことにした。


 いつものオフィスに入ると、灯りをつける。その瞬間に部屋の中に佇んでいる自分を見た、ソレはこちらを見ると口角を上げてニヤリとした後消えてしまった。


 どうやらこのオフィスには自分の真似をする何かがいるらしい。考えたくは無いことだがドッペルゲンガーの噂を思いだした。今はそれから逃げるために転職活動をコソコソとしている。


 そんな話を教えてもらった。どうやら自分が勝手に祭の神輿にされたことと、自分そっくりの何かがいるのが我慢ならないのだそうだ。ただ、再就職先が見つからないので、いい感じのホワイト企業に伝手はありませんかと聞かれ、流石にそんなものは無いのでそう言うとダメ元で話をしてくれたのかあっさりと切断されてしまった。


 どうか彼女が新しい平和な職場にいられることを祈るばかりだ。

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