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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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担保の土地が売れない理由

 その日は気分が乗らなかったのでダラダラとSNSを見ていた。そんな時に届いたDMを開くと奇妙な話が書いてあったので記録しておこうと思う。


 私はどうにも今までアコギな商売をしてきたと自負しています。金貸しをやっていて、少しでも業績に陰りが見えたら回収に走る、多分恨みもたくさん買っているのでしょう。ただ、どうにも不安なことがあるのです。


 アレはある一家から担保にしていた土地の権利書を換金しようとしたときです。何故か何処に行っても買ってはくれないんです。しっかり法的にも問題無い手続きをして手に入れたものだと言っても『ソレはちょっと……』と言葉を濁されて断られたんです。


 あの土地に何かあるのかと思い現地に行ってみました。なかなかに景観のいい場所だったので、土地としては申し分ないと思っていました。だから何か理由があるならそれを解決すれば売れると思ったんです。


 だからそこに向かったんですが、着いてみてもただ平原が広がっているだけです。整備もキチンとされていますし問題があるようには見えません。そこで何かあるのかと歩き回っていると、足下の石に躓いてころびました。


 偶然だ、そう分かってはいつつも何処か不気味だなと思いながら歩いていったのですが、時折蹴躓いてよろめくことがありました。


 そうして足下をよく見てみたんです。そこでふと不自然なことに気が付きました。先ほど躓いた石なんですが、妙に角ばっているんです、自然に転がっている石には見えませんでした。


 そっと石の一つの周囲を手が汚れるのも構わず土をどけてみたんです、思わずその跡悲鳴を上げました。


 それって……墓石だったんですよね。こんな土地を担保として差し出してきたヤツに文句も言いたかったのですが、当の本人は権利だけ渡して失踪してしまっています。


 仕方なく墓石を全部掘りだして供養をしてもらうことにしました。土地が売れるからとかではなく、どうも私がこんな商売を続けているとこの墓地の住人になりそうな気がしたんです。


 結構な金額を払って読経もしてもらい、一応は問題無い土地になりました。ただ、そこはあまり人が買い取るのに前向きになってもらえず、私が管理しています。定期的な供養も欠かしていません。


 どうにも思うのですが、私のところへあの土地が来たのは偶然ではないような気がするんですよ。何かが私に警告しようとしてあの土地を押しつけてきた、そんな気がしてならないんですよ。


 私はどうもそういったことに疎いのですが、あの地に眠る方々の貯めになにか出来ることがあるでしょうか?


 どうやら私への質問は、死者への手向けに何をすればいいかと言うことらしい。返信に『写経などはいかがでしょうか』と書いて返信しておいたが、それから後、『ありがとうございます、おかげで儲けは減りましたが商売は細々続けられています、もちろん写経も続けています』と返信が返ってきた。商売はおとなしくなった代わりに心の平穏を手に入れたらしい。


 私も詳しいわけではないがアドバイスを聞いてもらえたようで良かったと思っている。

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