避けた方が良い場所
その日はメールも来ていないことを確認して寝ようとした。ところが、寝ようとしたところでスマホが音を立てる。それはスマホのメッセンジャーの公開している連絡先へのメッセージだった。内容を読んでみると、怪談だったのでとりあえず目を通すことにした。
俺は上京して某所に住んでいる。ただ、どうにも奇妙な事がある。新卒で就職して、希望や期待に胸を膨らませて出社するのだが、どうにも出社している途中で気分が悪くなってくる。
始めは五月病みたいなものだろうと思っていたのだが、どうにも奇妙な事に気が付いた。出社したくないなと思うところが毎回同じなのだ。ソレは一日遅れそうになりギリギリの時間にいつもと違う道を通ったところ、そんな落ち込んだ気分にならなかったことで気が付いた。
スマホというものがあるので地図で毎日憂鬱になる場所をマップで出してみると、神社のマークが付いている。ただ、いつも出社するときに神社があるななんて思ったことはない。
神社なんてあっただろうかと考えると、そう言えばあの辺には不自然に緑が残った区画があるのを思い出した。そこについて調べてみると、有名な戦国武将が祀られているところであることが分かった。
しかし、そんなものが怖いからと出社するルートを変えるべきだろうか? それは割と本気で悩んだ。
それから出社するまで、毎日のように憂鬱な思いをすることになる。どうしてそんなことになるのかと愚痴りたくもなってくる。
そんな時、上司に呼び出された。何かやってしまっただろうかと不安に思いながら上司とサシで話をするところに行くと、柔和な笑みを浮かべた自分の上長が話しかけてきた。
なんでも、最近俺の顔色が悪いし、凡ミスも多いので気になって面談をすることになったそうだ。そこで上司は『君は○○から出社しているよね?』と言ってきたので素直に頷くと、ため息を一つついて言われた。
「ということは△△の前を通ってないかい?」
「え、ええ……通ってますね」
「そうか、手当は出すので通勤に使う駅を変えなさい。一駅向こう側で乗ればあそこの前は通らないだろう?」
何を言われているのか分からず困惑していると上司は言う。
「いや、あの辺に住んでいる子はね、あそこの前を通ってくるのが多いんだが、あんまりにも退職が多いから手当を出してあそこを避けるように提案することになっているんだよ」
あそこというのが何処かは分かる。しかしもう江戸時代以前の話だというのに今時そんな話が信じられているのかとポカンとしていると上司は言う。
「ああ、言いたいことは分かるよ。うちの社長も験を担ぐ人でね、ああいったスポットには詳しいんだよ。ま、社長も観光客があそこを見物するのにケチを付けるような人じゃないんだが、社員となると話が別なんだそうだ。手当を出せば辞めないなら、その暗い出してやれって考えらしい」
そんなこと言われ半信半疑のまま、通勤ルートを変えた。すると驚くほどやる気が落ちなくなった。あの某所にあるものが本当にヤバいもノだったのかと思わされた一件となる。
ところで聞きたいのが、△△っていうところは本当にヤバいのか教えて欲しい。
そんなメッセージが届いていた。かかれていた場所は色々とヤバいと有名な場所だった。一応名前は伏せておく。
そこは感じる人は影響を受けるようですよとだけ返しておいて、寝ようとしたとき、『マジなのか……』とだけ届いた。彼がどうしているかは知らないが、あそこには関わらない方がいいと思っている。




