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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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燃えた建物

 あの日は集中して作業に望んでいたところでメールが届いた。忙しいのになと思いつつも、頭が疲れているような気がしたので、メールを読んで気分を変えることにした。


 おおよそこんな内容のメールが来ていた。


 俺が友達と肝試しに行ったんだが、どうにもおかしいことが続くから何か方法は無いか教えてくれ


 そう書いてあった。どこか文面に焦りを感じていたのだが、気になったのでその肝試しの詳細を読んでみた。


 始めはUが肝試しを使用なんて言いやがったんだ。俺らだって高校も卒業かって言う時期にそんなくだらないことやってる暇あんのかよと言ってはみたものの、共通テストが終わったので気分良くなっていたヤツがいたせいで肝試しをしようという雰囲気になった。


 寒いのによくやるよと思ったら、どうやら火事で燃えたのをそのままにしてある建物に忍び込むんだと言う。そんなところに簡単に入れるのかよと聞くと、『大丈夫だって、とっくに燃えてから結構経ってんだろ? なんでも壊す金が無いから崩してないだけらしいぜ、警備も何も無いんだからピッタリだろう?』


 その言葉から、去年に火を出して半焼してしまった建物が思い浮かんだ。死者は出なかったが、とても住める状態ではないので住人は引っ越していった。その建物が崩されていないのは住人が引っ越し代を払うともう資金に余裕がなかったからだという話だ。


「で、そこに入っても大丈夫なんだよな?」


 Tがそう言うと、Uは自信ありそうに頷いた。


 皆が気軽に行動するのでその燃えた建物への侵入が決まった。


 夜にこっそりと抜け出し皆の集合場所に来た。きちんと全員集まっている。だから気が大きくなったのか、懐中電灯を持って燃えてしまっている扉の内玄関を通って家の中に入っていった。


 中に入るとこれといって何も無い。当然だよなと思いながら進んでいくとキッチンがあった。そのあたりはひときわ激しく燃えた跡がある。こっそり侵入するとそこは燃えてからかなり経っているはずだったのに、何故か妙に焦げ臭さが残っていた。


「なんだよここ、くっせーな」


「燃え跡なんてこんなもんだろ」


 誰かが言ったことをUが却下してそこへ侵入した。気持ちの悪いのを隠しきれず、ビクビクしながら入っていった。


 そこへ入ったのだが、なんだか妙に焦げ臭い。懐中電灯で全体を照らすと、ガスコンロがあったあたりが激しく燃えた跡がある。ここが火元かと思っていたときだ『ハハハハ!』と笑い声が響いた。


 その声が聞こえた途端全員で逃げ出し、『何だよあれ!』とビビっている。だが一人無言のヤツがいた。Tだ。


「なあ、俺らって高校生だよな?」


 くだらない質問をしてくるので全員右な頷きつつ、何を言ってるんだコイツ羽という顔をしていた。


「俺さ、見えたんだよ……あのキッチンでガキが多分ガスコンロだったんだろうな……それのつまみをカチャカチャ回してたんだよ」


 その言葉に全員怖くなって現地解散となった。幸いそれ以降何も起きておらず、全員酷いことにはなっていないようだ。


 俺は大丈夫なんですかね? 今大学に下宿するときはオール電化のところに下宿してるんですが、幽霊って電気でも対応出来るんですかね?


 そのメールの返信に『恨みを買うようなことをしていなければ大丈夫でしょう』と回答しておいた。それにしても住人に瑕疵が無いのに燃えた家は気の毒だなと思ったのだった。

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