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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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年末、贖罪をしたい

 その日、暇つぶしにPCでゲームをやっていたところ、メールが一通届いた。それを読んでみようと思ったのだが、本文にはURLが一つ貼ってあるだけだった。


 念のため、リンク先が安全か確認してからソレを踏んでみた。飛ばされた先はクラウドストレージのファイル共有サービスで、リンクを知っていればダウンロード出来るタイプだった。


 ファイルがテキストなのを確認してからソレをダウンロードして開いた。ソレはメールに全文を書くには多少多い文量だった。だからダウンロードリンクを送ってきたのかと思ったのだが、よく考えればテキストファイルなのだからメールに添付しても問題無いはずだ。


 なんとなくその矛盾に興味がわいて開いてみた。


 大体の内容をまとめてみるとしよう。


 俺はどうにも人というのは成長しないんだと思う。昔いじめていたヤツが高校の同窓会に来なかった。まあ来ないだろうなと思っていたのでなんとも思っていなかった。


 仲間達と『やっぱ来なかったな』『若い頃のヤンチャにこだわるヤツだったな』などと好き放題言っていた。


 その時はそれだけで済んでいた。ただ、年末の同窓会から、その後職場での忘年会があった。鍋を囲っての飲み会だったのだが、テーブルの中央には鍋とガスが設置されている。


 店員さんが火を付けて、希望の肉や野菜があれば頼んでくれと言うシステムのようだ。とりあえず肉と言うことになり、いくつかの種類の肉をタブレットで注文すると、届くのを待った。


 しばしして肉が来たのだが、それを食べようとトングで掴んで煮えている鍋の中に入れようとした。しかし必ず熱湯がはねて手にあたる。そのたびに熱い思いをするのだが、鍋は沸騰をして居るわけではない。


 そのじれったさでなんとなく忘年会が楽しめなかった。飲むのは好きだったのに、なんだか興が削がれてロクに飲めなかった。


 酷いもんだと思いながら忘年会は終わり帰宅をした。その時にスマホに連絡があった。内容はただの愚痴だったのだが、なんでも年末ということで家族で過ごそうと決めていたのだが、急な残業が入った。妻からグチグチ言われていると愚痴を聞かされることになった。


 その他にも、友人に車で帰宅したら駐車場に止めるのに失敗してしまい、ついバックをするときに踏み込みすぎて後ろのブロック塀に当ててしまったり、中には年末だからと調子に乗って遊ぼうと夜の町にくりだしたらボッタックリバーにあたってしまったヤツもいた。


 話をおおよそ聞き終わった後、着信履歴を見ると、あの時のいじめに参加していたヤツばかり愚痴を送ってきている。どれも偶然で済ませることも出来る話だが、どうしても特定のメンバーを狙って嫌がらせをしているように見える。


 人生を変えるほどの悲惨な目に合ったものはいなかったが、誰もが嫌な気分で年末年始を迎えることになった。


 年始に食べたおせち料理だが、普段は無理矢理な語呂合わせでめでたいものとされたものが詰まっているが、普段は気にしないのにその年は妙に美味しく感じられた。


 それから初詣として、近くの神社に参ったところ、御守もついでにもらったのだが、それからあの微妙に嫌な体験はしなくなった。


 ただ気分が悪いのが、自分がいじめていたヤツの消息が不明なことだ。勝手な話だが謝りたい、どうにか今の住所を調べる方法は無いだろうか?


 メールは大体そんな内容だった。わざわざいじめた相手の名前は書いてあったので検索をしてみた。同姓同名なのかもしれないが、それで出てきたのはスピリチュアル商品を売っている怪しげなサイトのオーナーが出てきた。


 私は大半のスピリチュアルを鼻で笑っていたのだが、こうなると笑えないなと思ってしまう。彼にこの事を伝えようとしたが、不安を煽るだけになりそうなので『見つかりませんでした』とシンプルに返信しておいた。彼の高校以来続く不安の種はなくならないかもしれないが、ある意味それが報いなのかもしれないなと思ったのだった。

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