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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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本当のことはあるのだろうか?

 その日、休みなのをいいことに昼頃まで寝てから怠惰なのを隠しもせずようやく正午を過ぎて起きた。そんな時にメールが来ていたのだが、ソレによるとなんだか焦っているような文面に感じられた。


 私は十年来この町に住んでいる。ごく最近までおかしな事はなかったし、このあたりにおかしな事はなかったと思っている。


 ただ、地方の衰退というものには勝てず、住んでいるところが寂れていくのは寂しいものだったが、そんな時に市長がとんでもない提案を受け入れた。


 ソレによると、大金をかけてとある組織が山を一つ買い取って施設を作りたいのだという。その組織は聞いたことがなかったが噂によると新興宗教だということだ。


 このことで紛糾したのだが、かなりの大金を提示されたらしく、財政難の自治体にはソレはあまりにもまぶしかったと聞く。そうして結局その宗教は施設を山を切り開きながら作っていった。


 あまりいい気のすることではなかったが、商店街を通ればシャッターを閉めている店が圧倒的に多い。そう考えるとどんな団体であれ引き込んで収入にしたいという市長の気持ちも分かった。


 だから問題無いと思っていたのだが、その途中、ある問題が起きた。工事をしている人たちが山の中に神社を見つけたというのだ。もちろん整備なんてされていないし、建物も崩れかけ、しかし立派な石造りの鳥居は残っていたらしい。


 ソレを壊すかどうかで話し合いになった結果、宗教団体がそこだけは信者を使って取り壊すと決まった。地元の工事会社は何処も嫌がったのでそうなったらしい。


 罰当たりなことをするとは思いつつ、今はああいった宗教の方が強いのかと少し悲しくなった。そうして取り壊しが始まったのだが……


 とにかく何かと事故が多い。崩れかけていた建物から落ちてきた瓦がヘルメットに当たったり、錆びた釘を踏み抜いたり、折れて鋭くなった木材が体に傷を付けたりと多くのトラブルが起きた。


 しかし、宗教団体なので労災にもせず無理矢理神社を取り壊したと聞いた。それから立派な宗教施設ができたのだが、何かとトラブルが絶えない。地域住民とのトラブルこそなかったものの、時折怪我人を出しては地元の病院に駆け込んでいた。


 どんな宗教活動をしているのかと問い詰められたこともあったそうだが、本当にそれは事故であって宗教とは関係がないらしい。


 となると噂になるのはあの神社を壊したのが良くなかったのではないかということだ。もちろん宗教団体は決してそんなことを認めはしないが、口さがない町民はそう噂をしていた。


 ただ、信者の方にも思うところがあるらしく、徐々に信者数を減らして言っていると噂になっていた。そのため地元からこそ信者を集めていないものの、近い地域から信者の勧誘を始めてしまった。そのおかげでこちらは酷い関係になってしまった。


 私はこのままここに住んで大丈夫だろうか? 確かに宗教団体は何も悪事をしていないが、あまりにも事故や不吉なことが多すぎる。私が引っ越した方が良いのか教えて欲しい。


 一応文中には宗教団体の名前も出ていたが伏せておく。こんな重い相談をされても困ると思っていると、メールの返信を考えていたのだが、その宗教団体のサイトを見たところ、山の中に教団施設を作ったという話はなかった。どれが嘘でどれが本当なのかは分からないが、触らぬ神に祟りなしと言うし『私には分かりかねます』といい加減な返事をすることになった。

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