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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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女がいるから……

 その日は起きると十時を指している時計が目に入った。窓を見るとそこから日が差し込んでいる。慌てて着替えようとしてスマホを手に取ったところで日曜日なのに気が付いた。


 どうも疲れているんだろうかと思いながら、スマホの画面をよく見るとメールが来ている通知がある。怪談用のアドレスへの通知だったのでPCを起動してそのメールを受信した。


 そこには気分の悪くなる話が載っていた。


 オレは大学で結構いろいろと女をえり好みした。まあアンタはガキのようだから詳細は省いておこう、大学生にもなるとここまで好き放題出来るのかと感動したほどだ。高校までの隠れてこっそりなんてことをしなくていい生活は実に心地良いものだった。


 まあそんな生活をしていたせいで浪人もしたが、ヒモの真似事をしていた当時は付き合っていた女に学費を出させたので俺の負担はなかった。食費から光熱費までソイツ持ちの部屋に転がり込んでいたので何の罪も感じない、ただ一年遊べる時間が増える程度の感覚だった。


 ただ、その女、一年と少ししたら男を作って部屋から出て行けと言いやがった。まあ仕方ない、新しい女を捜せばいいだけのことだ。


 そう思っていたのだが、あの女と別れてから、なかなか次が見つからない。いっそアイツと関係を続けようかと思ったのだが、新しい男と同棲してやがったのでそうもいかない。


 仕方ないのでバイトで食いつなぎながら何とか生活をして行った。生活費なんて女に出させていたので全部自分で稼ぐと大学に行く暇なんてありゃしない。おかげでもう一年単位を落とし留年することになった。あの女のせいで酷い目に遭ったと思いながら、何とか生活を続けていた。


 次の年でようやく進級出来たので、残りの年数の余裕もないこともあり、仕方なく大学は真面目に行くことにした。幸い出席だけしていれば何とか単位をもらえる抗議が大半だったし、教授達もやる気がないのだろう、抗議をしている間に後ろの席でスマホを弄っているヤツがいても無視を決め込んでいた。


 そんな生活を送って何とか大学は卒業した。これでまともな企業に就職して順風満帆な生活が送れると思っていた。だが、職場に怪文書が送られてきた。俺の過去の女の誰かが送ってきたとしか思えない内容だった。ソレでクビにも出来ないだろうし居座ればいいと思っていたのだが、今のコンプラ云々と言われて閑職に追いやられた。こんな事があってたまるかと思いながら、どの女が送ったのか考えていた。


 一番長く一緒だったヒモをやっていた女だったかと思ったのだが、その中にあの女は知らない内容があり、誰だと考えると一時だけ遊んでいた女だけが知っているないようだと気が付いた。


 一瞬だけ遊んだ女がどうしてこんなしつこく攻撃して来やがるんだと思いながら、あの女の今の住所を探した、文句の一つでも入れてやろうと思った。


 だが、あの女の居場所がようやく見つかったときにはもう遅かった。女はコンビニに寄ったあと樹海に入って行方不明となっている。その日はちょうどあの怪文書が送られてきた日だった。


 つまりあの女は樹海に入る前にコンビニに寄って怪文書を職場にファックスで送りやがったと言うことになる。


 俺も樹海を捜索してまで復習するほど暇じゃない。ただ、職場を変えたのだが、品行方正になったはずなのに時折昔の女の噂が立つことがある。それは決まってあの樹海に行った女しか知らない情報が入っていた。


 樹海に消えた女が定期的にファックスで職場に怪文書を送ってきていると思うと怖くなる。アンタはそういうのに詳しいそうなので対処を教えろ。


 そうメールには書かれていた。私がガキだとか、高圧的な態度だとか、そんな内容にイラッとしたのでそのメールに返信はしなかった。彼は返信を期待していなかったのかメールをしつこく送ってくることは無かった。


 ただ、その後見知らぬメールアドレスから、その男が女に乱暴をしたとメールが来ていた。そのアドレスは知らないものだったが、あの男のメールアドレスが書かれていたので関係者なのだろう。どうやら職場以外にも怪文書は来るようだ。彼にはどうか反省をしてほしいものだと思わされた一件だった。

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