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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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原付を粗末にした報いは……

 その日はなんとなく気分が良かった。こんな日はぐっすり眠るのが一番なのは分かっていた


 ただ、いつもしているからとPCのメーラーを見てみた。するとメールがしっかり届いている。出来れば後味の良い話題だといいなと思いながらそれを読んでみた。


 どうにもオレは電子器機が苦手らしいのでこのメールがおかしくてもユルシテ欲しい。ただ、最近起きる奇妙な出来事を読んで欲しい。


 オレは昔、言ってはなんだがヤンチャをしていた。いや、そういう言い方は良くないのかもしれない。原付をパクって乗り回して捨てたのは片手の指では数えられない回数がある。


 そんなことをしていたのだが、盗んだ原付はガソリンが切れたらそこに放り出して余裕のあるやつと二ケツしていった。そんなことばかりしているせいか、学校での成績は悲惨なモノだった。


 ただ、それでも入れる大学はあるもので、教師も進学をどんなところであれ、して欲しかったようで、名前も聞いたことのないような大学の資料をいくつも集めて進学先を決めることになった。


 選択肢は多くないので、仕方なくで大学を選んだ。試験はシンプルなものだった、名前を書いてマークシートを適当に埋める、ソレだけで合格してしまった。そんないい加減に大学に入れるとは思わなかったので合格の通知が来たときには驚いたものだ。


 そうして進学のため悪い仲間達とは縁を切り、大学に進学すると新しい生活が出来るだろうと思っていた。だが、大学では金持ちの学生も多いのか、自動車で大学に入ってきている学生もいて、これが金の力かと呆れ半分に見ていた。


 授業は中学生の復習のようなことをさせられた。大学で学ぶのがこれかとは思ったが、とにかく大卒の資格は取れそうだと安心した。


 さて、大学に進学すると友人もできたのだが、友人の中には初めての夏休みに自動車の運転免許を取ったヤツがいる。ソイツが皆を誘って遊ぼうぜと言う。一応免許取り立ての車には乗るなと言われていたのだが、結果的にはそうなった。


 俺が参加をしたドライブではエンジンの調子が悪くなって車が走らなくなるのだ。解散となった途端にエンジンがかかるようになったりした。その結果、俺がいなければエンジンがかかるとなって、車での旅行には誘われなくなった。


 自分たちだけ楽しみやがって、そんなことを思いながら部屋で寝る羽目になった。退屈だったがサークルも今は活動をしていない。イライラしながらそのまま寝てしまったのだが、夜中に目が覚めた。ところが目だけしか動かせない。


 ナルホドこれが金縛りかと思った。そこまで騒ぐような怖さはないなと安心していたのだが、しばし体を動かせず困っていると、ブルブルルルと音がした、そちらに目をやると、先ほどの音はセルモータを回したのだろう、原付が大きな音を立てながら部屋の中に停まっている。


 これはなんだと思っていると、次第に意識が薄れていき、目が覚めると原付は痕跡も残っていなかった。


 それからも時々代わる代わる夜中にバイクの音で起こされることがあった。思いだしてみると、どうも自分が盗んだバイクにそっくりに見える。鍵の部分を見てみると、キーの代わりに何かがさしてあった。よくある強引なバイク盗難の方法だ。


 困っているのはそいつらが出てくるのがいつまで経っても終わらないんです。何とかアレを追い出す方法を教えてください。


 最後の一文で、私は原付の幽霊にまで効くのか怪しいなと思いながら縁切り神社を紹介した。


 それで無事終わったかと思ったのだが、後になって彼は私に『こちらでは自分のなさったことの報いは切れません』と言われて断られたそうだとメールをしてきた。彼は捨て台詞のように『もういい、自分で探す!』と書いて送ってきたが、彼が今どうしているかは謎のままだ。

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