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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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ずっと昔の懺悔の話

 私がPCで怪談を書き記していた時だった。SNSのDMが届いたという通知が出た。大半はスパムなのだが一応確認をすると、なんだか妙にひらがなの多いメッセージが届いていた。


 今時のスパムには珍しいほどの日本語だったので興味がわいて開いてみると、そこには自己紹介として「年寄りなので文字を打つのが遅いのは許してください」と書かれていて、怪談があるのだという。


 私は長文を送ってくるなら書いておいてコピペすればいいんじゃないかと思ったものの、もう結構なお歳のようなのでそれを覚えてもらうのも酷だろうと話を聞いた。


 なんでも、その方は若い頃経済成長期を体験していたので、お金には困らないものだと思っていたのだという。そんな生活を続けたので東京で遊ぶのが当たり前になっていた。


 そんな時でもクラスの中には貧乏な子もいた。皆好き好きに噂を流していたが、どうやら父親が家を出て行っていたらしいと噂が流れていたが本当かどうかは分からない。


 彼女はみんなから避けられていたのだが、露骨に暴力などにはでなかった。誰もが彼女をいないものとして扱う、そんないじめが行われていた。


 とはいえ、当時は今より学校が荒れていたので、派手な暴力事件でも起こらなければそこまで問題視されなかった時代だ。


 本当に恥ずかしいことですが、と彼女は続ける。


 みんながその子のことを無視する中、自分も次第にその子を無視するようになっていった。友人達が無視しているというのに自分だけ相手をすると、巻き添えになりかねない。それは耐えがたいことだった。


 その子は次第に学校に来なくなった、ただ、その子は来なくなった方が幸せだったのではないかと思えてしまう。何しろ、随分と酷い扱いだったのに、そんなものに耐えてもいい事なんてないだろうと割り切っていた。


 その子が来なくなってからだ、クラスが妙に荒れだした。クラスの中で夢の中にあの子が出てきたと言い出す子が出てきたのだが、みんなそれをからかって、更に問題になっていくという流れだった。


 忘れられないのが、一人の子が『これを見てよ!』と袖をまくると『呪』と赤くミミズ腫れになっていた。それを見た子達は怖くなってパニックになったのだが、みんなあの子のことを怖がるようになり、パニックが広がったところでその子は登校してきた。


 誰もがその子を恐れ、話しかけなかった。ただ、彼女はいくらか扱いはマシになり、振りな扱いはされなくなり、無視されていたのが、腫れ物に触るような扱いになるくらいには改善した。


 自分には心底彼女ののろいが届かなくて良かったと思いながら学校での生活を続けた。必死に勉強してそこそこの学校に行ったのだが、そこはあの子の経済状態なら通えない学校だった。彼女から離れたい一心で勉強に打ち込んで逃げ出した。


『これが私の懺悔です』


 これを送ってくださった方は、今も彼女のことを助けられなかったことを後悔しているらしい。何より、進学校に進んだ結果、キツい受験戦争に巻き込まれ、まともに眠れなかった時に夢の中、あの子が昔の姿のままニヤニヤと自分を覗き込んでいた時はこれも彼女の復讐なんだと思ったそうだ。


 最後に『読んでくださりありがとうございます』と話を終わらせていた。私は返信に『彼女はもしかして今も出ているんですか?』と打ち込んでから消し、いつも通りのお礼の言葉を書いて送信した。

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