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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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書き残して欲しい話

 ある日のことだ、スマホにメッセージが飛んできた。怪談を伝えたいということで、通話アプリの案内をしようとしたところ、SMSだけで読んで欲しいというので、通信料がかかってもいいならと、私はそれを承諾した。


 なんでも、連絡をしてくれた人は、昔同級生をいじめていたのだそうだ。その時は何も起きなかったのだが、そのまま卒業してしばらく忘れていた頃にそれはやって来た。


 そのいじめはクラス全体で行ったモノだったが、なんでも自分たちがメインでそれを行っていたという。彼はメッセージの中でしきりに自分だけがやったことではないと書いていた。


 小学校で行われたいじめだったが、中学に上がる時にクラスメイトは様々な進路を選ぶ。スポーツから勉強まで、様々な理由で進路を選んだが、いじめていた相手はそのまま受験も何も無くていい公立中学に進学したという。そこから伝え聞くところによると、彼は中学に入ったが、一度も登校をしなかったらしい。


 そうしてみんながバラバラの進路へ進んだところで奇妙なことが起き始めた。


 スポーツで進学した子であれば、足の腱を切ったり、勉強をしていた子であれば、テストの日に風邪をひいて酷い成績になったりと、偶然で済ませることも出来るが、その手の酷い目に合ったのは全員いじめを主導していた者達だった。


 そんなのは偶然だと鼻で笑っていたのだが、ある晩、いじめていた生徒が夢に出てきた。人はここまで誰かを憎むことが出来るのだろうかと思ってしまうほどの形相で、金縛りに遭って寝たままの自分の顔を覗き込んできたという。


 頼むからどこかに行ってくれと必死に願っていると、彼はニタリと笑って消えていき、その後からだが動くようになった。それだけのことしかしないのだが、毎晩現れるので寝不足とメンタルに不調をきたした。


 何とかしてもらおうと神社やお寺にも行ったそうだが、何も憑いていないと言われてやんわり帰されたそうだ。


 それからというもの、人生の節目になると彼が夢の中に出てくるようになったのだという。そのおかげで高校受験も大学受験も酷いものだった。滑り込んだ高校や大学でも定期試験の度に現れるので毎回寝不足で挑まなければならなかったらしい。


 留年こそなかったが、酷い成績だったため、進路に選択肢はほとんど無かったのだという。そこまで恨まれる覚えは無いとしきりに書いてきていたのを覚えている。


 それから就職し、今はなかなかの激務で薄給に悩んでいるそうだ。転職しようとして、一度だけ本当にしてみたことがあるが、なんでも面接の前日に例の夢を見てしまい門前払い同然の扱いを受けたそうだ。


 異常が彼の話になるのだが、何故こんな話を私にしたのかと聞いてみた。すると『○○(被害者の名前)をきっちり書いてくれ、あんなやつがのうのうとしていていいはずが無い』と返ってきた。


 私はそこに書かれていた名前を出す気は無いが、残してくれと言う希望の異常そこのみ伏せて書くことにし、なんとも人とは変わらないんだなと思った一件だった。

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