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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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遺産の呪物について

 私はその日、サブ回線にしていたプリペイドSIMの支払いを忘れていた。別にサブ回線は必須ではなかったのでWiFiで困っていなかったのもあり放置されていた。


 しかしすこし遠くまで外出する時に持ち物のチェックをした時にSIMの支払いをしていなかったのでデータ残量がゼロになっているのに気が付いた。すこし遠いのでサブ回線も使えるようにしておこうと、アプリを開いてデータ残量をチャージしておいた。数日ならこれで十分だろう。


 そうしてチャージが終わったのだが、データ残量が入ると、出かけたのだが、サブ回線に大量のメッセージが届いた。旅先のビジネスホテルでスマホを開くとメッセンジャーの通知がいっぱいになっていたので、何がきたのかと開いてみた。


 内容は、『呪われているんです、助けてください!!!!』というものだった。私は感嘆符を大量に付けていることからイタズラかと思ったのだが、それにしてはしつこい。すこしだけ興味がわいたので呪いの内容を教えてもらうようメッセージを送った。


 するとすぐに返信があり、それによると、実家の祖父が大往生をしてその相続争いで泥沼なのだそうだ。そして、親類が何の予兆もなく病に倒れていくので、これは誰か遺産を独り占めしようとしているものが呪っているに違いないと言う内容だった。


 私も専門家というわけではないのでそこまで詳しくはないが、呪物があれば分かることもある。その相手に遺産の一部でもいいから写真を撮れないかと頼むと、自分が相続すると確定しているものの写真を送ってくださった。


 それを見て私はめまいがした。その遺産は掛け軸だったのだが、それが広げて置かれている。何故こんなものを相続したのか分からないが、その掛け軸は有名な人が描いたわけでは無いのだろう、おそらく送信者の祖父が自筆下のではないかという達筆で文字が書かれているのだが、そこには親族への呪詛の言葉が書かれていた。


 送ってきた本人はこの手の字を読み慣れていないのだろう。気が付いていない様子だったので、刺激しないようにその掛け軸に書かれている内容を伝えた。すると『これは祖父が全員に残せるようにと買った掛け軸だと聞いていたんですが……』と返ってきた。なんでもこの方のおじいさんは仲良く遺産を分けられるようにと、相続する全員分の掛け軸を用意していたという。


 私は掛け軸をしかるべきところで処分することを勧めて話を終わらせた。それだけで終わるはずだったのだが、後日連絡が入った。


「ありがとうございます! 掛け軸を処分したら何も起きなくなりました」


 そこまでは良かった、ただ、その後の一文に私はなんとも言えない顔になった。


「掛け軸を相続した親戚達も、病気をやったので遺産は私に譲るということだそうです」


 あの掛け軸が呪物のようなものであることは他の親族には伝えなかったらしい。不気味がった皆が相続を嫌がってほぼ自分のものになったのだという。


 私はあの掛け軸にどうして呪詛が書かれていたのか、相続する人たちにそんなものを分けたのか、なんとなく亡くなったおじいさんの気持ちも分かった気がした。

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